日本のバイクシーンにおいてモタードカテゴリを認知させるキッカケとなったマシンと言えるのが、カワサキ「Dトラッカー」である。デビューモデルは1998年2月に発売された。
当時欧米を中心に人気を集めていたレース「スーパーモタード」であるが。発売当初はモタードモデルが国内では認知度が低かったことから、「新世代スクランブラー」として売り出していたが、海外のモタードブームの影響を受けて後に多いに人気を博していくことに。

ベースになっているのは、1993年から販売されていたデュアルパーパスマシン「闘う4スト」こと「KLX250」だ。
車体は、セミダブルクレードル型フレームにDOHC4バルブの水冷4ストローク単気筒エンジンを搭載。デビューモデルの最高出力は30馬力を発揮し乾燥重量は118kgという仕様だった。トランスミッションは6速リターン式を採用している。
足回りは、フロントに倒立フォークを装備しリアはスイングアームにモノショックという組み合わせ。ホイールサイズは、ベースモデルの「KLX250」がフロント21インチ・リア18インチのフルサイズでブロックパターンタイヤを装着していたところ、本モデルは前後17インチのオンロードタイヤを装着している。
デビュー以降はカラーチェンジを実施しながら、2001年に最初のマイナーチェンジが行われた。当時の環境規制に対応することが主な目的となり、カワサキオリジナルの排ガス浄化システム「KLEEN」を新たに搭載。その結果、平成11年の排ガス規制をクリアし販売を続行された。
翌年にはスズキとの業務提携により本モデルのOEM版がスズキ「250SB」として販売されることになった。ちなみにクローズドコース専用モトクロッサー「KX250F」もスズキから「RM-Z250」として一時期販売されていた。なお、両社の提携は2007年で解消されており以降の共同開発モデルは展開されていない。
「Dトラッカー」は、その後2005年にノジマ製のチタンサイレンサーと専用デカールが付属する「Dトラッカー スペシャルパッケージ」を設定。通常タイプとの価格差は3万円(税抜)だったので、お買い得感のあるモデルだった。
以降は、カラーチェンジを繰り返しながら2007年モデルまで展開され2008年のフルモデルチェンジで「DトラッカーX」へと進化した。

スーパーモタードがレースの「1ジャンル」として確立され広く認知されるようになると、モトクロッサーやデュアルパーパスモデルなどをスーパーモタード風に改造するカスタムが広がるようになり、各メーカーもスーパーモタード風の公道走行用モデルの市販を開始。
日本では特にジムカーナで使用されるスーパーモタード風の車種が目立ち始め、モタードブームが起きるとホンダのXRモタード、排気量は違うもののスズキのDR-Z400SMなど、ライバル各社もスーパーモタードモデルを発売。
ジムカーナにおけるモタード車の割合は激増した。好成績を収めるマシンも多く、当時のメディアでも紹介されたことがモタードバイクの人気に火をつけた形だ。
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解説記事更新日：2022年01月26日

1998年登場モデルの特徴は以下の通り。
・基本ベースは「KLX250」で、倒立フォークやセル始動、多機能デジタルメーターなど同様の装備
・前後17インチのホイールにオンロードタイヤを装備した「スーパーモタード」モデル
・カラーは「ブルー21」のみのラインナップ (ホイールリムもブルーカラー)

解説記事更新日：2021年10月03日

1999年モデルの変更点は以下の通り。
・カラー、グラフィック変更
・前年モデルの「ブルー21」に加え、新色の「ライムグリーン」を追加
・シュラウド全体に広がる「D」のロゴが印象的なグラフィックを新たに採用
・ライムグリーンはホイールリムがブラックカラーになっている
・ブルー21はシート、マフラーカバーが青から黒に変更
・価格は変更なし

解説記事更新日：2021年10月03日

2001年モデルの変更点は以下の通り。
・排ガス規制に対応するためマイナーチェンジを行う
・カワサキ独自の排気ガス浄化システム「KLEEN」を搭載し、一次減速比も変更
・カラーは新色「エボニー」とブルー21の2色ラインナップ (ライムグリーンはカタログ落ち)
・グラフィックも変更され、インパクトのある「D」ロゴを強調したシュラウドグラフィックから、「D」ロゴを小さめに配置したスタイリッシュなグラフィックを採用している
・価格は47.9万円に変更

解説記事更新日：2021年10月03日

2002年モデルの変更点は以下の通り。
・カラーチェンジを行い、新色「ポーラホワイト」と「エボニー」の2色ラインナップ (ブルー21はカタログ落ち)
・エボニーはテール部とマフラーカバーが黒に変更され、全体がブラックカラーに統一された
・グラフィックも変更され、フレア模様があしらわれた新グラフィックを採用
・価格は変更なし

解説記事更新日：2021年10月03日

2003年モデルの変更点は以下の通り。
・カラー、グラフィック変更
・新色「ブレイジングオレンジ」と「エボニー」の2色ラインナップ (ポーラホワイトはカタログ落ち)
・前年のフレア模様をあしらったグラフィックから、「D」ロゴをより目立たせるバックカラーを配置した疾走感のあるグラフィックが採用されている
・バッテリーのメーカー変更も行われている (ユアサ製 → 古河電池製)
・価格は50.2万円に変更

解説記事更新日：2021年10月03日

2004年モデルの変更点は以下の通り。
・シュラウド、リヤフェンダー、メーターバイザーなどのデザインが変更
・シュラウドグラフィックも変更され、従来までの「D」ロゴが印象的なデザインから「D-TRACKER」デカールをシンプルに配置したグラフィックに変更されている
・カラーは新色「オリエンタルブルー」、新色「シュネーホワイト」、継続カラー「エボニー」の3色ラインナップ (ブレイジングオレンジはカタログ落ち)
・価格は51.8万円に変更

解説記事更新日：2021年10月03日

2005年モデルの変更点は以下の通り。
・カラー、グラフィック変更
・カラーリングは「ブルー21」と「ライムグリーン」が復活し、継続カラーの「エボニー」と併せた3色ラインナップ (オリエンタルブルー、シュネーホワイトはカタログ落ち)
・グラフィックはシュラウドとテール部分にフレア模様をあしらったグラフィックを採用
・価格は変更なし
・2005年10月には、「ノジマ製のチタンマフラー」とシュラウドに「Team Green」ステッカーを装備した「D-トラッカー スペシャルパッケージ」も発売されている

解説記事更新日：2021年10月03日

2006年モデルの変更点は以下の通り。
・カラー、グラフィック変更
・新色「シーンホワイト」、継続カラー「ライムグリーン」、「エボニー」の3色ラインナップ (ブルー21はカタログ落ち)
・グラフィックはシュラウドの「D-TRACKER」デカールサイズを縮小し、流線型のグラフィックを引き立てたデザインを採用
・価格は変更なし

解説記事更新日：2021年10月03日

2007年モデルの変更点は以下の通り。
・D-トラッカーとしては最終モデル
・2006年からの変更点はカラーチェンジとグラフィック変更
・新色「エボニー×パールブレイジングオレンジ」、新色「エボニー×キャンディサンダーブルー」、継続カラー「ライムグリーン」の3色ラインナップ (シーンホワイトはカタログ落ち)
・「KX」をイメージさせるライムグリーンは流線型のグラフィック部分が拡張され、新たに「KAWASAKI」デカールが採用
・新色2色は新たに、小さめの「KAWASAKI」ロゴが配置
・「エボニー×キャンディサンダーブルー」はホイールリムもブルーカラー仕様となっている
・価格は変更なし

解説記事更新日：2021年10月03日