おもにヨーロッパ市場をメインマーケットにロングセラーモデルとなっていた「GPz500」、「Ninja500」の実質後継モデルとして2006年モデルで登場したのが「ER-6」シリーズだ。フルカウルスポーツスタイルの「ER-6f」とストリートファイタールックの本モデル「ER-6n」の2タイプ構成で展開された。
車体は高張力鋼パイプを使用したトラス形状ダイヤモンド型フレームにDOHC4バルブ水冷4ストロークパラレルツインエンジンを搭載。ボア・ストロークが83.0mm×60.0mmの649ccユニットで、デビュー時の最高出力は8,500回転72.1馬力というスペック。トランスミッションは6速リターン式を採用。乾燥重量は178kgでフルカウルツアラーの兄弟モデル「ER-6f」より4kg軽かった。
足回りは、フロントにインナーチューブ41mm径のテレスコピックフォークを装備して17インチ6本スポークホイールとウェーブデザインのダブルディスクブレーキをセット。
リアはトラス形状のスイングアームに車体右サイドへレイダウンマウントするモノショックを装備。ネイキッドスタイルの本モデルは当然のことながらフルカウルスタイルの「ER-6f」もこのリアサスが露出するデザインを採用しており目を惹く車体のアクセントポイントとなっている。
ホイールはフロントと同径の17インチホイールにシングルディスクブレーキを組合せる。ABSに関してはタイプ別設定で展開された。
ライバルモデルとしては、後発マシンとなるが2009年モデルで登場したスズキの「グラディウス650」が比較対象になるだろう。202kgの車体に搭載する645ccの水冷Vツインユニとは71馬力仕様。パワーウェイトレシオでは本モデルが有利だが、Vツイン独特の鼓動感が魅力的なフィーリングだった。
なお、デビュー以降の「ER-6n」は、カラーチェンジを繰り返しながら2009年モデルで最初のフルモデルチェンジを実施。以下の仕様変更を受けた。

・排ガス規制EURO3適合
・LEDテール採用
・メーターデザイン変更

ちなみにこの2009年モデルの北米仕様は、6,399ドルで販売されていた。
その後はカラーチェンジを実施しながら2012年モデルで2度目のフルモデルチェンジを受けて3代目へと世代交代を果たし2015年モデルまで展開。
なお、本モデルは海外向けとなり国内への正規導入は行われなかった。

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解説記事更新日：2022年12月06日

2006年にカワサキから発売されたER-6n。
ER-5の後継モデルとして登場、縦2眼ヘッドライトがインパクト大なフロントマスク、エンジンには水冷4サイクルDOHC2気筒を搭載、最高出力は72.1PS、乾燥重量は174kgだった。また、鋼管製ペリメターフレームを採用、角度の深さが特徴的なオフセットレイダウンリアサスペンションを搭載、また、ABS搭載モデルも設定されていた。
カラーバリエーションにはエボニー、ギャラクシーシルバータイプ2、ビビッドイエローの3色を設定。
フルカウルタイプの派生モデルとしてER-6fも登場しており、海外ではフルカウルタイプER-6fの人気が高かったが、日本国内においては独特な外観のネイキッドモデルであるER-6nの人気も高かった。
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解説記事更新日：2021年07月26日

カラーチェンジを受けて発売された2007年モデルのER-6n。
カラーバリエーションにはパールワイルドファイアオレンジ、メタリックディアブロブラック、ギャラクシーシルバー2の3色を設定。
ライバル車にはスズキの同ミドルクラスネイキッドモデルのSV650が挙げられる。最高出力はER-6nと同じく72.1PS、乾燥重量はSV650が168kgでER-6nより6kg軽量だった。パワーウェイトレシオでは、SV650が2.33kg/PS、ER-6nは2.41kg/PSで僅差ながら数値上の走行性ではSV650が優っていた。
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解説記事更新日：2021年07月27日

カラーチェンジを受けて発売された2008年モデルのER-6n。
カラーバリエーションにはキャンディライムグリーン、メタリックディアブロブラック、キャンディプラズマブルーの3色を設定。
ABS搭載モデルも継続して設定されている。
ライバル車にはホンダのネイキッドモデルでER-6nと同じく縦2眼のヘッドライトを搭載したフロントマスクが印象的なCB600F ホーネットが挙げられる。2008年モデルのホーネット最高出力は100PS、乾燥重量は198kgでER-6fより24kg重くなっていたが、CBR600RR譲りのハイパワーなエンジンがその重量差を補い、パワーウェイトレシオを比較するとホーネットは1.98kg/PS、対するER-6fは2.46kg/PSとなり、PWRではホーネットに軍配が上がった。
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解説記事更新日：2021年07月26日

生産拠点をKMT(タイカワサキ)に移してフルモデルチェンジを受けた2009〜11年モデル C型のER-6n。
エンジンや最高出力などに変更はなかったものの、フロントマスクはヘッドライトのサイズも含め少々面長になり、シュラウドカバーやフェンダーが尖りを増していた。
2009年モデルの新車販売価格は£5,649だった。
2010、2011年モデルでは性能の変更はなくカラーチェンジのみ。ABS搭載モデルも引き続き設定されている
また、ライバル車だったSV650の後継モデルであるグラディウスが2009年に登場。最高出力はER-6nと同じ72PS、装備重量は202kgでER-6fより2kg増しだがこちらもほぼ同等、パワーウェイトレシオで表してもグラディウスは2.8kg/PS、対するER-6fは2.77kg/PSと走行性に差はなかった。多少ながら差があったのは新車販売価格で、グラディウスはER-6nより£150安い£5,499となっていた。
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解説記事更新日：2021年07月26日

フルモデルチェンジを受けて発売された2012〜2015年モデルのER-6n E型。
欧州の排ガス規制であるユーロ3に対応、最高出力やエンジン性能の変更はなかったものの外観は一新され、ストリートファイター風に盛り上がった燃料タンクや、コンパクトにまとまったフロントマスクやシュラウドカバーリアカウルなど後継モデルとなるZ650に通ずる筋肉質なデザインが施された。また、シートは前後でセパレートされ、タンデム製を向上している。
2012年モデルの新車販売価格は£5,699で先代モデルから£50高となっていた。
2013〜2015年モデルは性能面に変わりはなくカラーチェンジのみ。ABS搭載モデルも引き続き設定された。
ライバル車としては2014年にヤマハから並列2気筒エンジンを積んだミドルクラスネイキッドのMT-07が登場。最高出力は73.4PSとほぼ同等だったが車体の軽さがウリでもあるMT-07の装備重量は188kgで、2台をパワーウェイトレシオで比較するとMT-07は2.56kg/PS、対するER-6nは2.83kg/PSとなり走行性ではMT-07が優っていた。
ER-6nとしてはこの2016年モデルを最終方として生産を終了、以降2016年からは後継モデルとしてSugomiデザインに身を包んだZ650が登場することとなる。
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解説記事更新日：2021年07月26日