1990年代半ばの50ccスクーターカテゴリはスポーツモデルの人気争いが熱かった。ホンダ「ライブDio ZX」、ヤマハ「スーパーJOG ZR」、そしてスズキからは「セピアZZ」が台頭しており、いずれのマシンも当時の国内メーカー自主規制値MAXの7.2馬力エンジンを搭載していた。しかし、その勢力争いは1999年に大きな節目を迎えることにある。環境性能に対する規制が厳しくなり排ガス規制に対応する必要が生じたのだ。そこで、「ライブ Dio ZX」や「スーパーJOG ZR」は販売を継続しながらも仕様変更を実施。スズキは「セピアZZ」がカタログ落ちとなり、新モデルを投入。それが「ZZ」である。発売は2000年4月のことだった。
車体は鋼管アンダーボーンフレームにA155型の空冷2ストローク単気筒エンジンを搭載。最高出力は従来モデルからパワーダウンすることなく7.2馬力を維持。当時の排ガス規制に適合するためにスズキ独自の排ガス浄化システムを採用している。ライバルモデルは環境性能を高めることによって「ライブDio ZX」は6.3馬力、「スーパーJOG ZR」は6.8馬力といずれもパワーダウンを余儀なくされていた。
「ZZ」は「インチアップスポーツ」というサブネームが付されており、そのネーミング通り一般的な50ccスクーターが10インチスチールホイールを履いていたところ、12インチのアルミ製キャストホイールを採用。迫力あるルックスでスポーティなデザインに仕上がっていた。さらに足回りはゴールドアルマイト処理されたSHOWA製サスペンションを装備しフロントブレーキはディスク仕様と豪華なマシンだった。
2002年には特別限定モデルの「ZZチームスズキカラー」を発売。自主規制MAXとなる7.2馬力の50ccスクーターとしては国内最後のモデルとして貴重な存在だったが再び排ガス規制の壁に阻まれ2007年に生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年11月29日

2000年にスズキから新登場した50ccスクーターのZZ。
セピアZZの後継モデルとして登場し、エンジンには最高出力7.2PS/7,000rpmを発揮する空冷2ストローク単気筒を搭載。
特徴的なのは足回りで、50ccスクーターといえばタイヤは前後10インチが通例となっていたが「INCH UP SPORT」というサブネーム通りZZは12インチ6本スポークのアルミ製キャストホイールを採用しスポーティ感を強くアピール。加えてサスペンションはショーワ製のゴールドアルマイト仕上げとなっているなど走行性だけでなく所有感も従来より格段と上がっていた。
カラーバリエーションにはパールスティルホワイト、ソニックシルバーメタリック、サターンブラックメタリックの3色を設定。
新車販売価格は18.9万円だった。
同年9月にはスペシャルカラーモデルとしてロードレース世界選手権のRGV-γからカラーリングを踏襲したZZ テレフォニカモビスターカラーを発売。また、翌2001年にはホワイトを基調としたカラーリングを受けたサマーバージョンが発売されている。
原付にも4ストロークへ移行する波が押し寄せていた中で2スト、7.2PSと強気な姿勢が当時のヤング層ガチっとハマり、ホンダのZXやヤマハのJog ZRなどスポーツスタイルの原付と共に人気モデルとなる。
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解説記事更新日：2021年11月20日

カラーチェンジを受けて発売された2002年モデルのZZ。
前年の2001年度全日本選手権ロードレースにおいて、ＧＳＸ－Ｒ７５０を駆って見事シリーズ優勝を記念して、チームスズキワークスカラーをモチーフとしたカラーリングを施し、リアスポイラーにはチャンピオンステッカーを配したスペシャルカラーモデルをＺＺチームスズキカラーとして1,000台限定で発売。
新車販売価格は19.4万円だった。
同年7月には2000年に販売されたテレフォニカモビスターカラーの’02年バージョンが、翌2003年にはレッドを基調にしたサマーバージョンがこちらもスペシャルカラーモデルとして登場している。
ライバル車にはホンダのZXがフルモデルチェンジを受けて2002年に登場したZ4が挙げられる。最高出力はZZより1.9PS低い5.3PS/8.000rpm、装備重量は若干4kg軽い81kgだったが、加速性能では出力をメーカ規制値である7.2PSに設定しているZZの方が優っていたと言えるだろう。しかしながら燃費性能ではZZの54km/Lに対し、水冷4ストエンジンを積んだZ4は80km/Lと大幅に上回っていた。
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解説記事更新日：2021年11月20日

カラーチェンジを受けて発売された2005年モデルのZZ。
ホワイトを基調としたカラーリングを設定しながらZZのエンブレムを取り払いシンプルなスタイルとなったスタンダードモデル。
新車販売価格は18.7万円だった。
同年3月には全身をパープルに染めたスペシャルカラーモデルが登場。こちらの新車販売価格は19.1万円だった。
ライバル車にはヤマハのJog ZRが挙げられる。2004年モデルの最高出力はZZより低い6.5PS/7,000rpm、装備重量は約8kg軽量の77kgで燃費性ではZZが54km/Lなのに対してZRは63km/Lとなっていた。
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解説記事更新日：2021年11月20日

カラーチェンジを受けて発売された2006年モデルのZZ。
スタンダードカラーは先代からそのままに、ボディをブルーにカラーリングしたスペシャルカラーモデルを発売。
新車販売価格は19.3万円だった。
当時の原付に欠かせないパーツと言えばハイマウントのリアスポイラーである。当時スポーツタイプと謳われた原付(ZXやZRなど)にはことごとく搭載されたものでもちろんこのZZも例に違わず採用されており、ふと見れば時が経ってなお、1990年〜2000年代の香りを思い出させてくれる素敵パーツである。
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解説記事更新日：2021年11月20日

カラーチェンジを受けて発売された2007年モデルのZZ。
ブラックをスペシャルカラーモデルとして設定。
新車販売価格は19.3万円だった。
ZZはこの2007年モデルを最終型として生産を終了。80年代から始まった原付ブーム、そしてスクーターもスポーツモデルにスポットライトが当たった90年代を経て2000年代に入り、スポーツタイプのスクーターとしては唯一7.2PSというメーカー自主規制値ギリギリの設定で尖り続けたZZも2007年の排ガス規制を年貢の納め時となった。
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解説記事更新日：2021年11月20日