スズキ初のビッグスクーターシリーズとして1998年に登場した「スカイウェイブ」の最大排気量クラスとなるのが「スカイウェイブ650」だ。2002年の発売で、当時は世界最大排気量のスクーターともいえるモデルだった。その上位グレードという位置づけで2004年1月に発売されたのが、「スカイウェイブ650LX」である。
パワートレインには水冷4ストロークDOHC4バルブ直列2気筒のP506型エンジンを搭載。最高出力はデビューモデルのCP51A型が50馬力だったが、最終モデルでは53馬力にアップしていた。
トランスミッションは、スズキオリジナルの電子制御式CVT(SECVT)を採用。量産型市販オートバイでこの機構を搭載したのは「スカイウェイブ650/LX」が初のモデルである。
SECVTは5段階マニュアルモードと2パターンのオートモード(燃費性能を重視したノーマルモードと走行性能を重視したパワーモード)から好みや走行シチュエーションに応じた設定をチョイスできる。その後のマイナーチェンジでマニュアルモードは最終的に6段階に進化した。
足回りはフロントがテレスコピックの正立フォークでリアはスイングアーム仕様だ。エンジンはフレームにマウントされている。ホイールサイズはフロント15インチにダブルディスクブレーキ、リアは14インチのディスクブレーキを採用している。
比較対象モデルとしては、下位排気量になるが大型二輪クラスのヤマハ「TMAX」シリーズが候補に挙がる。「TMAX」はスポーツ走行性能を重視した構造とスペックである一方、本モデルは走行安定性や快適性が重視されているので用途に合わせて選べばよいだろう。
2008年には型式変更を伴うマイナーチェンジを実施、その後は2013年に最初で最後のフルモデルチェンジを実施し2018年に生産終了がアナウンスされた。

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解説記事更新日：2021年10月17日

2004年式のスカイウェイブ650は、排気量638ccで（当時）世界最大の量産スクーターです。量産車初の電子制御式CVTを採用、ノーマル、パワー、マニュアル6速というシフトモードを選んで走ることも可能です。
LXは2004年に追加されたモデルで、標準モデルとの違いは、
・ABSを標準装備
・ミラーを電動格納式に変更
・タンデムライダー用の背もたれを追加装備
・サイレンサーカバーにクロムめっきカバーを装着
・カラーリングは《ソニックシルバーメタリック》
です。
650ccですから大型二輪のAT限定免許があれば乗れます。CVTに任せて走ってもよし、マニュアル6速で走ってもよし、大きな収納スペースと長いホイールベースで安心感は抜群です。ただし650ccあるスクーターですから、車重は276kgあります。取り回しは見た目よりは大変です。
この時代はまだ同等排気量のライバル車は現れておらず、650cc前後のスクーター市場ではスカイウェイブ650とLXの独壇場だったと言えます。トリプルディスクとABSによってブレーキング時の安全性も高く、スクリーンによって雨天時の快適性もあり、大型スクーターの醍醐味を充分に味わえるモデルとなっています。
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解説記事更新日：2021年10月18日

2005年式のスカイウェイブ650はマイナーチェンジを受け、スクーターとしては世界初の電動可動式スクリーンが装着されました。これは無段階調節が可能で、右グリップのスイッチで操作できます。ライダーの身長に合わせたり、高速走行で風がつらい、雨が降ってきた、気温が変化した等の場合、停止せずに変えられるのは非常に便利です。
またヘッドライトはロービームでも左右点灯します。ウインカーはリアカウルと一体に納められており、出っ張りがありません。シート下収納もタンデムで1泊程度の荷物なら余裕で入ってしまいそうです。
ETCをつければ、高速道路を使った宿泊ツーリングにも気軽に行けます。装備重量が280kgとリッターバイク級にあるので、その点は要注意です。
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解説記事更新日：2021年08月20日

2006年式のスカイウェイブ650はカラーチェンジを受け、《オールドグレーメタリック》1色となりました。価格は据え置きです。
2006年当時、このクラスにおけるライバルは他にありませんでした。また大型二輪のAT免許を新設するときに650ccまでとされたのは、このスカイウェイブが最大排気量だったことが理由にあります。
スカイウェイブの特徴の一つは、スイングアームでリアタイヤを懸架していることで、一般的なユニットスイング（エンジンから駆動系・リアタイヤまでが一体でリアサスが支える）より路面追従性が優れています。
通常のバイクと比較した場合、スクーターは全般的に前後ホイールを小さくして（スカイウェイブでは前15，後14インチ）車高を低くし、ホイールベースを長くすることで安定性を稼いでいます。そのため意外に小回りはきかず、市街地や郊外を、車のオートマのような感覚で走るのに適しています。車重があるのも安定性に寄与しています。リッタークラスの大型ツアラーと同じ感覚を、より気軽に楽しめる1台です。
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解説記事更新日：2021年08月20日

2007年モデルのスカイウェイブ650LXは、排ガス規制対応により型式がCP42A型に変更されました。
またカラーチェンジを受け、新色の《パールグラスホワイト》、継続色の《オールドグレーメタリック》2色設定となりました。価格は据え置きです。
スカイウェイブの実車を目にすると、とても大きいことに驚かされます。さすがにスズキ製スクーターの最上位機種であり、車重も装備で300kgに迫るなど、大きさも重さも重量級です。
特にボリュームがあるのがフロントカウル回りとタンデムシート回りで、ライダーはその真ん中に入り込む感じです。スクリーンは95mmの範囲で上下に可動、膝下は足元までカバーされているため、少々の雨なら濡れません。パッセンジャーシート下は大きな収納スペースとなっており、タンデムで1泊ぐらいの荷物なら余裕で入ってしまいます。
バイクの開放感は車より断然上ですから、スカイウェイブに荷物を積み、タンデムで1泊ツーリングなどに行けば大いなる開放感を味わえるに違いありません。オートマ限定免許で楽々乗れますし、ABSがついているのも安心です。
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解説記事更新日：2021年10月18日

2009年式のスカイウェイブ650LXはマイナーチェンジを受けています。
チェンジ内容は、
・下位機種の【スカイウェイブ650】がなくなり、LXのみのモデル設定
・シートヒーターを標準装備（前のみON、前後ON、前後OFFの切り替え可能）
・グリップヒーターを標準装備
・シートとグリップのヒーターはそれぞれ5段階調整可能
・ヘッドライト内のリフレクターを淡いブルーに変更
・カラーリングは新色の《パールネブラーブラック》、《パールミラージュホワイト》、継続色の《オールドグレーメタリック》の3色です。
シートヒーターとグリップヒーターが装着されましたが、これらは寒冷時に非常に嬉しいメカです。シートヒーターはシートが温まることでお尻を、グリップヒーターはグリップが温まることで手のひらを温めます。これがあるのとないのとでは、体感温度がかなり違います。グリップヒーターをONにすれば冬に薄手の手袋でも走れるぐらいです。
ただし両者ともバッテリーに負担がかかることと、グリップヒーターは低温やけどに注意が必要です。
このマイナーチェンジによって、スカイウェイブLXはオールシーズンの快適性を手に入れました。夏は電動スクリーンを下げて温度調整、冬は2つのヒーターONでかなり快適となります。大きなカウルで少々の雨もかからず、高速道路はロングホイールベースと装備300kg近い重量で安定して走れます。
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解説記事更新日：2021年08月26日

スカイウェイブ650LXは2011年にマイナーチェンジを受けています。
中央に大型液晶のある新デザインメーターパネルを採用
・「ABS」ステッカー位置をフロントフェンダー左右から左ヘッドライト上へ移動
・車体色は《パールミラージュホワイト》、《オールトグレーメタリック》の２色をラインナップ
2012年には新色の《パールムーンストーングレー》が追加されました。他は既存色の《パールミラージュホワイト》です。
2009年にシートヒーターとグリップヒーターが装着されており、寒冷時の快適性は大きく高まっていました。2011年のマイナーチェンジは、高級感の演出と言えます。
排気量は650ccありますから、ライバルのTMAX500と比べてエンジンパワーのアドバンテージは明らかです。TMAXはスポーツ路線寄りですから、高級大型スクーターとしてはスカイウェイブの独壇場と言ってもいい状態が続いていました。
ABS、電動で上下するスクリーン、電動格納ミラーなども、安全面および所有欲を満たしてくれる点で嬉しい装備です。
シート下収納スペースも広いので、タンデムで1,2泊のツーリングは楽々こなせます。
注意点は、装備重量277kgとかなり重いことと、高速道路では横風に弱いことです。車体を横から見ると通常のバイクと異なり、ほとんどがフルカバードとなっていて空気の通り道がないためです。
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解説記事更新日：2021年08月27日

「スカイウェイブ650LX」として初めてであり最後ともなったモデルチェンは2013年1月に行われた。
カラーラインアップは「マットフィブロイングレーメタリック」、「パールブレーシングホワイト」、「グラススパークルブラック」の3パターン展開で従来モデルの2カラーからバリエーションが増えた。2013年モデルの価格は据え置きで、1,113,000円(税込)だった。
今回のモデルチェンジで外装デザインも変更されている。ホイールカラーは従来モデルまでシルバー系だったが新たにブラックカラーが採用され引き締まった印象に仕上がっている。さらにサイドからリアにかけてのラインがスッキリした造形になったので全体的にスタイリッシュさが増している。
パワートレインはデビュー時から引き継がれているP506型の水冷4ストロークDOHC4バルブ2気筒エンジンで50馬力というスペック(最終モデルは53馬力)。最高出力や最大トルクの変化は無いがフリクション低減やCVTの制御系統に仕様変更を加えることで燃費性能が向上している。2012年モデルでリッターあたり27km(60km/h走行時)という数値だったが、2013年モデルでは32kmと約10%も良くなった。
今回のモデルチェンジ以降は、カラーチェンジを実施しながら販売が継続され2017年には排ガス規制に対応するためのマイナーチェンジが行われたが、翌年の2018年に生産終了となった。

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解説記事更新日：2021年10月18日