2011年に発売されたトライアンフのミドルクラスアドベンチャー「タイガー800」シリーズは、2015年にフルモデルチェンを受けて第2世代へと進化を遂げた。そして、このタイミングでラインアップ構成をリニューアル。ベースモデルの他に豪華装備の上級グレードも用意されてライダーの選択肢が増えた。オンロード志向の「XR(クロスロード)」系とオフロード志向の「XC(クロスカントリー)」系という2ライン展開で、それぞれに上位グレードの「XCx」と「XCA」を設定した。
本機「タイガー800XCx」は、オフロードタイプの中間グレードというポジションになる。日本仕様は2015年1月に発売された。

車体の基本コンポーネントは、2011年デビューの第1世代「タイガー800XC」を踏襲している。スチール製のトレリスフレームにマウントされるエンジンは、ボア・ストロークが74mm×61.9mmのDOHC4バルブ水冷並列3気筒ユニット。スロットル制御は従来のワイヤードからライドバイワイヤで電子制御化された。最高出力は9,300回転95馬力、最大トルクが7,850回転79Nmというスペックでデビュー。走行モード選択機能は、「ロード」、「オフロード」、「ライダーモード」の3タイプから任意に設定可能となる。ちなみにベースモデルの「タイガー800XC」は、電子制御スロットル化されたものの、ライディングモード機能は実装されていなかった。トランスミッションは6速リターン式でチェーンドライブ構造。

足回りは、フロントサスペンションにはWP製43mm倒立フォークが与えられた。そこに柔軟性に優れた21インチのクロススポークホイールを履いて、308mmのダブルディスクブレーキを組合せる。キャリパーはニッシン製の2ピストンタイプをセットする。リヤはスイングアームにフロントと同じくWP製のモノショックという構造。ホイールは、17インチで、ブレーキは255mmディスクにニッシンのシングルキャリパー仕様。ちなみに従来の「タイガー800」系は、SHOWA製のサスペンションキットを採用していたが、2015年の世代交代で、よりオフロード性能で実績のあるWP製に変更されていた。ABSは標準装備でスイッチ切り替えが可能。トラクションコントロールももちろん標準装備となる。

なお本機「タイガー800XCx」は、上級グレードということでベースモデルの装備に加えて以下のアイテムが標準装備となる。

・走行モード選択機能
・クルーズコントロール
・センタースタンド
・エンジンガード
・オートキャンセルウィンカー
・アルミ製サンプガード
・ナックルガード
・高性能トリップコンピュータ

エンジン回りなどプロテクター関連のアイテムが追加されておりオフロードでの安心感が増しているほか、クルーズコントロールの装備で長距離移動も快適だ。

ライバルモデルとしては、ライバルモデルとしてはBMWモトラッドが展開する「F800GS アドベンチャー」が比較対象になるだろう。本機より9kg重い229kgの車体に搭載するエンジンは、800ccのDOHC4バルブ水冷パラレルツインユニット。最高出力は7,500回転85馬力仕様。最大トルクは5,750回転83Nmというスペック。ピークパワーは「タイガー800XCx」より劣るが、トルクが太いので扱いやすく力強い走りを楽しめる。燃料タンクも24Lで本機より4L大容量タイプなので、ロングツーリングでは頼もしい。ただ、シート高が890mmで、ローシートタイプでも860mmなので足つき性に不安を感じるライダーもいることだろう。ちなみに「タイガー800 XCx」は860mmと840mmの2段階調整式となっていた。

なおデビュー以降の「タイガー800XCx」は2018年にフルモデルチェンジを受けて、2020年式まで販売された。

買替や売る際の買取査定は、2015~20年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月12日

新世代「タイガー800」系のオフロード向け中間グレードとして展開されたのが、本機「タイガー800XCx」だった。日本国内仕様は2015年1月に以下のカラーラインアップと価格で発売された。

・「カスピアンブルー」　164万円(税込)
・「クリスタルホワイト」　164万円(税込)
・「ファントムブラック」　164万円(税込)

カラーバリエーションは3タイプで、どんなシーンにも馴染みやすい「ブラック」と「ホワイト」に加えて、爽やかな印象の「ブルー」も用意された。価格はベースグレードの15万円高となっていた。エントリーグレードとなる「XC」との違いだが、本機には3モードから選択できるライディングモードやクルーズコントロール、センタースタンド、調整式フロントスクリーン、エンジンガード類などオフロードアドベンチャーとしての機能と快適性を向上させるためのアイテムが標準で装着されていた。

エンジンや足回り構成に関しては全グレード共通で、800㏄の電子制御スロットル水冷トリプルは、9,250回転95馬力仕様。最大トルクは、7,850回転で79Nmを発生する。走行モードは、「ロード」・「オフロード」・「ライダーモード」の3タイプが用意されていたが、それぞれスロットルマップやトラクションコントロールとABSの介入プログラムが異なっており、ライダーの好みや走行シーンに応じて異なる出力特性を楽しむことができた。
シート高は、860mmと840mmの2段階調整式となっているので、足つきに不安を感じるライダーもチャレンジしやすいマシン設計となっていた。

買替や売る際の買取査定は、2015年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月12日

エンジンガードやセンタースタンドなどオフロードアドベンチャーの機能美を強化するアイテムの他、クルーズコントロールやライディングモードといったツーリング時の快適性アップに繋がる電子装備も採用する「タイガー800XC」系の上級グレード「XCx」だが、デビュー2年目を迎える2016年式は、目立ったアップデートを受けることなく継続ラインアップ。カラーバリエーションも以下の3タイプで続投となった。

・継続「カスピアンブルー」
・継続「クリスタルホワイト」
・継続「ファントムブラック」

前年に第2世代へとフルモデルチェンジが行われると同時に展開された本機「タイガー800 XCx」だが、シャシーやエンジン、足回り構成はベースグレードと変わらない。スチールフレームに搭載されるエンジンは、800㏄水冷トリプルでライドバイワイヤの電子制御スロットル仕様。走行モード選択機能も実装された。スペックは、最高出力が9,250回転95馬力という仕様。最大トルクは7,850回転79Nmだった。重量は221kgで、シンプル装備のベースグレードより3kg重くなる。

足回りは、オフロードパーツで実績のあるWP製サスペンションキットを前後に装備する。ちなみにオンロード志向のクロスロードモデル「タイガー800 XR」系にはSHOWA製のサスペンションが採用されていた。

メーターパネルはデジタルスピード計とアナログ回転計のコンビタイプで、ハザードスイッチやオートキャンセルインジケーターも標準装備だった。

買替や売る際の買取査定は、2016年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月13日

フルモデルチェンジで世代交代が行われた2015年以降、ラインアップ構成のリニューアルが行われた「タイガー800」シリーズ。オフロードタイプ「XC」系の中間グレードに位置する本機「タイガー800XCx」は、2017年式も目立った仕様変更を受けることなく継続展開された。カラーバリエーションもデビュー時から変わらず、以下の3パターンで続投となった。

・継続「カスピアンブルー」
・継続「クリスタルホワイト」
・継続「ファントムブラック」

価格に関しては、USモデルが前年比で200ドルアップの13,900ドルで販売された。
ライドバイワイヤでコントロールするエンジンは、DOHC4バルブ800㏄水冷トリプルユニット。最高出力は9,250回転で95馬力を発生する。最大トルクは7,850回転79Nmというスペック。ライディングモードは、「ロード」・「オフロード」・「ライダー」の3タイプから好みに応じてセッティングが可能。なおエントリーモデルで日本では受注生産扱いの「タイガー800XC」には採用されていない機能となる。
加えて、本機は上級グレードということでクルーズコントロールも標準装備で電子制御系統が強化されている。また、機能美を高めるアクセサリーとしてエンジンガードやハンドガード、センタースタンドといったアイテムも装着されていた。
ちなみに最上位グレードの「タイガー800XCA」には、グリップヒーター、前後シートヒーターや空気圧モニタリングシステムといった装備も採用されていた。こちらのUS仕様2017年式は15,700ドルで、本機より1,800ドル高だった。

買替や売る際の買取査定は、2017年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月13日

トライアンフのミドルクラスアドベンチャー「タイガー800」シリーズは、2018年に3回目のフルモデルチェンジが行われた。2015年の世代交代時と同じように今回もラインアップの編成を実施。オフロード志向の「XC」系は、ベースグレードが廃止となって、本機「XCx」と「XCA」の2タイプが継続された。このタイミングで実施されたモデルチェンジで適用されたアップデートの主な内容は以下の通り。

・エンジン仕様変更
・ミッションギヤ比変更
・カラー液晶メーター採用
・ブレンボ製フロントブレーキキャリパー
・サスペンション仕様変更
・カウルデザイン変更など

エンジンサイズは800ccの水冷トリプルで変更なし。環境性能はユーロ4に適合する。各部の最適化で最高出力95馬力を発生するタイミングが従来から250rpm高い9,500回転となった。最大トルクも79Nmで変わらないが、こちらもピーク到達するエンジン回転数が200rpmアップの8,050回転となっていた。走行モード選択機能はメニューが大幅にアップデートされている。従来では3モードのみだったが、2018年式の新型からは「ロード」・「オフロード」・「オフロードプロ」・「スポーツ」・「トラック」の5メニュー構成でグレードアップした。
トランスミッションは1速のギヤ比がショート化されて低速走行時のトラクション性能が向上。様々な走行シーンで安定した走行性能を実現。

また足回りはフロントのブレーキキャリパーが従来のニッシン製2ピストンタイプからブレンボ製へ変更されて制動力アップ。

世代交代で進化を遂げた新型「タイガー800XCx」2018年式の日本仕様は、以下のカラーリングと価格で発売された。

・「ジェットブラック」　169万9,800円(税込)
・「クリスタルホワイト」　172万5,800円(税込)
・「ルーサンブルー」　172万5,800円(税込)
・「マットカーキグリーン」　172万5,800円(税込)

なお上位モデルで灯火類がフルLED化されるなど、さらに豪華な「タイガー800XCA」は、185.6万円(税込)となっていた。

買替や売る際の買取査定は、2018年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月13日

前年のフルモデルチェンジで第3世代へと移行した「タイガー800」シリーズだが、フロント21インチ・リヤ17インチのワイヤースポークホイールでオフロード色を強めた本機「XCx」は、新たなエントリークラスというポジションになった。2019年式はモデルチェンジ直後ということで特筆すべき変更ポイントは無く継続された。
カラーバリエーションも2018年式で展開された以下の4バリエーションで続投となる。

・継続「ジェットブラック」
・継続「クリスタルホワイト」
・継続「ルーサンブルー」
・継続「マットカーキグリーン」

エンジンに関しては、先代モデルから大きな変更は無くスペックも9,500回転95馬力・8,050回転79Nmとなっていて、ピークに達する回転数にわずかな変化が見られたのみだった。ただ、ライディングモード選択機能は、「スポーツ」や「トラック」、「オフロードプロ」といった、よりアグレッシブでマシンパフォーマンスを最大限に引き出すモードが新たに実装されて操る楽しさがアップしている。
さらに足回りは、WP製の前後サスペンションという構造に変わりは無いが、セッティング変更でより優れた路面追従性と乗り心地性能を実現。足元の制動系統は、フロントキャリパーがブレンボ製にアップグレード。各部の設計変更や改良を受けつつマシン重量は先代モデルの221kgから16kgも軽くなって205kgまで削ぎ落され着実な進化を遂げている。

なお2019年式「タイガー800XCx」は、US仕様が14,600ドルで前年から150ドルの値上げが行われた。

買替や売る際の買取査定は、2019年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月13日

2020年のトライアンフ「タイガー」は、ミドルクラスに次世代モデルの「タイガー900」が設定された。そのため本機「タイガー800XCx」を含めて「800」シリーズは、2020年式が最終仕様ということになる。なお2018年のフルモデルチェンジで第3世代となった「タイガー800」系は、以降目立ったアップデートを受けることなく継続されてきており、今期の最終仕様2020年式も同様だった。価格は北米仕様が前年から据え置きの14,600ドルで、以下の4カラー展開。

・継続「ジェットブラック」
・継続「ルーサンブルー」
・継続「マットカーキグリーン」
・継続「クリスタルホワイト」

スチール製トレリスフレームに搭載するパワーユニットは、2011年の第1世代デビュー時から変わっていないサイズの800cc水冷トリプルだ。最高出力は、9,500回転95馬力仕様。最大トルクは、8,050回転で79Nmを発生する。6速ミッションの1速ギヤはショートタイプで低速域の優れたトラクション性能を実現することで、未舗装路での安定した走行性能を可能にする。ライディングモードの「オフロードプロ」を選択すれば、ABSやトラクションコントロールの介入を抑えることができ、刺激的なライディングとマシンパフォーマンスを楽しむことができるだろう。

前後足回りのWP製サスペンションは調整機能付き。さらにシート高も860mmと840mmの2段階調整式となっているので、ライダーの体格や好みに応じてライディングポジションを気軽に変更出ることも本機の特徴だった。

なお本機と入れ替わるように展開された後継モデルは、ユーロ5に適合する888ccユニットを搭載した「タイガー900ラリー」シリーズだった。

買替や売る際の買取査定は、2020年式 タイガー800 XCxの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年07月13日