レッドをメーカーのイメージカラーに設定して、シャープなスタイルのハイスペックマシンを数多くラインアップするイタリアのバイクメーカー「ドゥカティ」だが、2015年モデルで新たなブランドを展開。それが「ドゥカティ・スクランブラー」だった。そのブランドネームからイメージできるだろうが、どこか懐かしさを感じさせるデザインを採用するロードスポーツモデル群となる。その中で、アメリカのフラットトラックレーサーをモチーフにしたスタイリングに仕上がられたモデルが本機「スクランブラー フルスロットル」だった。日本国内向けデビューモデルとなったK102型は、2015年6月に発売された。

車体設計は、ドゥカティの伝統構造とも言えるスチールチューブ製トレリスフレームに空冷2バルブL型ツインを搭載するというもの。エンジンは、「モンスター 796」用に開発されていたユニットがベースになっていて、ボア・ストロークが88mm×66mmの803ccとなる。最高出力は8,250回転73馬力で、最大トルクが5,750回転67Nmというスペックで登場した。ちなみに2015年の「スクランブラー」は、本機の他にエントリーマシンの「アイコン」、ワイヤースポークホイールを履く「クラシック」、そしてオフロードテイストを取り入れた「アーバンエンデューロ」のトータル4マシンで展開。フレームとエンジンは共用していた。

足回りは、フロントに41mm径カヤバ製の倒立フォークを装備して17インチのキャストホイールを履く。ブレーキは330mmのシングルディスクにラジアルマウントの4ピルトンキャリパーという組み合わせ。リヤは湾曲デザインの両持ちスイングアームにフロントと同メーカーのカヤバ製プリロード調整式モノショックと17インチホイールという構造。ブレーキディスクはフロントより小径の245mmディスクで、キャリパーはシングルピストンタイプだった。ABSは標準装備。

外観デザインでは、フラットトラックレーサーをイメージさせるサイドのゼッケンプレートや低めのバーハンドル、テルミニョーニ製の2本出しマフラーを標準装備してレーシーな印象に仕上がっている。

ライバルモデルとしては格上排気量となるが、BMWモトラッドが2016年に発売した「R nineT スクランブラー」が比較対象になるだろう。エンジンは空油冷の1,169ccボクサーツイン。DOHC4バルブの高性能ユニットで、最高出力は7,550回転で110馬力を発生する。最大トルクも6,000回転116Nmというハイスペックマシン。ただ、重量は222kgで本機より36kg重く、シート高は30mm高い820mmとなっていた。

なおデビュー以降の「スクランブラー フルスロットル」は、カラーチェンジやモデル変更を受けながら、2023年式ではスロットルが電子制御化されるなど進化を続けながら継続ラインアップされている。

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解説記事更新日：2024年06月03日

ドゥカティの新たなブランドとして2015年ラインナップでスタートした「スクランブラー」。デビューイヤーとなった2015年式はトータル4マシンが設定された。その中で、最もスポーティなマシン設計を採用したのが、本機「スクランブラー フルスロットル」だった。
日本仕様は以下のカラーリングと価格設定で同年6月に発売された。

・「ブラック×イエロー」　119万9,500円(税込)

パワーユニットには、今や唯一となった803㏄の空冷OHC2バルブL型ツインを搭載する。ユーロ3に適合する心臓部は、8,250回転で72馬力を発生する。最大トルクは5,750回転67Nmというスペック。ちなみに本国モデルは75馬力・68Nmのハイパワー仕様となっていた。

エンジン本体やフロントフォーク、スイングアーム、ホイールからハンドルバーに至るまでマシンの各部はブラックアウトされていて、タンクとシートもブラックを基調とする。そこに差し色としてイエローのラインやゼッケンプレートを組み合わせることで、コントラストの効いたシャープで精悍なイメージに仕上がっている。
さらにエキゾーストパイプは、テルミニョーニ製のレーシングマフラーがストック状態でセットされる豪華なモデル。
ナンバープレートホルダーはスイングアームにマウントされていて、この仕様は「スクランブラー」シリーズの「クラシック」を除く3マシン共通ディテールとなっていた。

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解説記事更新日：2024年06月03日

前年に展開されたニューブランド「ドゥカティ・スクランブラー」だが、デビュー2年目となる2016年式で新たに2マシンが追加された。
ファッションブランドとのコラボレーションモデル「イタリアンインディペンデント」と往年のダートトラックレーサーをイメージさせる「フラットトラック プロ」だった。これらニューカマーを含めて2016年の「スクランブラー」は、トータル6マシンとなったわけだが、さらに下位排気量の400㏄クラスに「スクランブラー シックスティ2」も設定された。早くもラインアップの充実化が進んでいるニューシリーズだ。
その中で、フラットトラックレーサーの雰囲気を残しながらもスタイリッシュに仕上げたマシンが本機「スクランブラー フルスロットル」だった。2016年式の日本仕様は、以下のカラーリングと価格で展開された。

・継続「ブラック×イエロー」　125.9万円(税込)

ブラックをベースとした車体にイエローのラインやゼッケンを配するカラーリングは前年通り。価格に関しては5万9,500円アップで125.9万円(税込)で販売された。

メカニカル面も目立ったアップデートポイントは無く前年通りの仕様で継続となって、主要諸元は変わっていない。
スチール製のトレリスフレームにマウントされるエンジンは、803㏄のSOHC2バルブ空冷デスモドロミックL型ツインとなる。日本仕様の最高出力は8,250回転72馬力というスペック。最大トルクは5,750回転で67Nmを発生する。
足元は、前後17インチのブラックアルミキャストホイールにピレリ製「MT60RS」タイヤを組み合わせていた。　

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解説記事更新日：2024年06月03日

2017年の「スクランブラー」シリーズは前年に引き続き、メインカテゴリの800ccクラスへさらに2台のニューモデルが追加された。
フルアジャスタブル倒立フォークやラジアルマウントブレーキキャリパー、セパレートハンドルで装備する「カフェレーサー」とロングストローク仕様の専用サスペンションやピレリの「スコーピオン ラリー STR」タイヤを履くオフロードマシン「デザートスレッド」が登場。一方で、2016年モデルで設定された「イタリアインディペンデント」と「フラットトラックプロ」、さらに「アーバンエンデューロ」の3台がカタログ落ち。その結果、800ccクラスが5マシンで、400㏄クラス1台のトータル6機でラインアップとなった。

なお本機「スクランブラー フルスロットル」に関しては、2015年のデビューから目立った仕様変更は受けておらず、2017年式も従来通りの仕様で継続。ブラックベースにイエローの差し色を組み合わせたカラーリングを採用して、日本国内モデルは価格も据え置きの125.9万円(税込)で販売された。

テルミニーニョ製のスリップオンサイレンサーが接続されるマシンの心臓部は、SOHC2バルブの空冷L型2気筒ユニットとなる。803㏄エンジンは、8,250回転で72馬力を発生する。最大トルクは5,750回転67Nmというスペック。
足回りは前後カヤバ製のサスペンションを装備して、17インチの10本スポークアルミキャストホイールを履く。安全面ではABSが標準装備となる。

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解説記事更新日：2024年06月03日

シリーズ展開当初の2015年式から展開される本機「スクランブラー フルスロットル」は、2018年モデルで最初のカラーチェンジが行われた。
カラーリングは、ブラックベースにイエローのグラフィックを配するスタイルで変わらないが、タンクサイドのイエロー部分はデザインがチェッカーフラッグタイプへリニューアルとなった。また価格は、日本仕様が前年比で1.6万円アップの127.5万円(税込)に設定された。

カラーリングの他に変更ポイントは無く、803㏄の空冷2バルブL型ツインも従来通りの8,250回転73馬力・5,750回転67Nmというスペックで変わりはない。

ショートタイプのフェンダーに17インチのブラックキャストホイールを組合せる足元は、
フロントに330mmディスクとラジアルマウント4ピストンキャリパーをセットする信頼性の高いブレーキを採用。リヤは245mmディスクにシングルピルションキャリパーという構造。どこかクラシカルなオーラを放つマシンだが、安全面はABSも標準装備で抜かりはない。

なお2018年の「スクランブラー」シリーズには、これまでの400㏄と800㏄クラスに加えてリッターオーバーの「1100」がラインアップに加わった。かつての「モンスター 1100」に採用されていた空冷L型ツインの環境性能を高めてユーロ4に適合させたエンジンを搭載する。スタンダードな無印グレードの他に「スペシャル」と「スポーツ」のトータル3タイプ構成で登場した。その結果、2018年の「スクランブラー」は、3クラス排気量11台が群を連ねる大所帯へと成長していた。

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解説記事更新日：2024年06月03日

「スクランブラー」シリーズがブランド展開された2015年当初から継続ラインアップされてきた本機「スクランブラー フルスロットル」だが、2019年式では初となるフルモデルチェンジが行われた。適用されたアップデート内容は以下の通り。

・シートデザイン変更
・コーナリングABS採用
・DRL付きLEDヘッドライト採用
・ドゥカティ・マルチメディア・システム採用
・カラーチェンジ

スチール製トレリスフレームに803㏄のSOHC空冷2バルブL型ツインエンジンという構造は従来通りだが、エンジンマネージメントシステムはアップデートされてユーロ4に適合している。最高出力は8,250回転73馬力、最大トルクが5,750回転67Nmというスペックで変わっていない。駆動系統には新たにワイヤード油圧式クラッチを採用した。
足回りは、引き続き前後カヤバ製のサスペンションキットを装備する。そこに10本スポークのフロント18インチ・リヤ17インチアルミキャストホイールを履く。制動系統には新たにコーナリングABSを採用することで安全性とマシンの信頼性が大きく向上している。

装備面では、ニューデザインのパッセンジャー用カバー付きシートを採用。フラットトラックレーサーの雰囲気がより強められたスタイルへとイメージチェンジ。なおシートの変更によって、シート高が8mmアップの798ccとなったことで足つき性は若干悪くなった。

モデルチェンジによって次世代へと移行した「スクランブラー フルスロットル」2019年式は、前年のアメリカ・スーパーフーリガン選手権でフランキー・ガルシアが駆ったマシンをイメージしたブラック×イエローのカラーリングを採用して登場。価格はUS向けが10,995ドルだった。

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解説記事更新日：2024年06月05日

2015年のデビュー以降、初となるフルモデルチェンジを前年に受けて世代交代となった「スクランブラー フルスロットル」だが、2020年式に目立ったアップデートポイントは無く前年通りの仕様でラインアップ継続となった。日本仕様として導入されたカラーリングと価格は以下の通り。

・継続「イエロー×ブラック」　133.9万円(税込)

ブラックベースの車体にイエローを差し色に使ってビビットなイメージに仕上げるスタイルは、2015年のデビュー時から変わっていない。前年のフルモデルチェンと同時に採用されたニューグラフィックは、2018年のアメリカン・スーパーフーリガン選手権でフランキー・ガルシアが駆ったマシンをオマージュしたものだった。
メカニカル面も従来通りで、ユーロ4に適合する803㏄の空冷2バルブL型2気筒エンジンは、8,250回転で73馬力を発生する。最大トルクは5,750回転67Nmというスペック。
ローポジションのハンドルバーやサイドカバーゼッケン、標準装備のテルミニーニョ製エキゾーストでフラットトラックレーサーの無骨なスタイルを創り上げつつもストリート映えするデザインを採用している。

なお800㏄クラスの「スクランブラー」シリーズにおいて、本機はスポーティなグレードに該当するが、さらに本格的なスペックを求めるのであれば上位排気量クラスにはオーリンズのサスペンションを前後に標準装備する「スクランブラー 1100 スポーツ」もラインアップされている。こちらの2020年式は187.7万円(税込)で販売されていた。

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解説記事更新日：2024年06月05日

2021年の「スクランブラー」シリーズだが、800㏄クラス日本国内向けは廉価版グレードの「アイコン ダーク」、エントリーモデルの「アイコン」、カフェレーサースタイルの「ナイトシフト」、そしてオフロードテイストの「デザートスレッド」という4モデルが導入されて、本機「フルスロットル」の姿は無かった。
ただ、海外マーケットでは以下のカラーリングと価格で引き続きラインアップを継続していた。

・継続「イエロー×ブラック」　10,995USドル

カラーリングもメカニカルも変更ポイントは無く、主要諸元は前年通りとなる。
フラットトラックレーサーからインスパイアされた専用デザインシートの後部は標準でカバーが装着されていてレーシーなスタイルを演出。サイドカバーはイエローベースにホワイトのボーダーラインを配するゼッケンスペースを再現。
ドゥカティの伝統スタイルとも言えるスチール製のトレリスフレームにマウントされるエンジンは、空冷2バルブL型ツインの803㏄ユニット。最高出力は8,250回転73馬力で、最大トルクが5,750回転67Nmというスペック。今となっては各メーカーのニューマシンが電子制御スロットルを採用しているが、本機はアクセルワイヤーを介する機械式で50mm径のスロットルボディを開閉する。

各部に昔ながらの2輪マシンらしい設計が残されているが、制動系統にはボッシュ製のデュアルチャネルコーナリングABSを採用することで安心感と信頼性を確保している。さらにヘッドライトはデイタイムランディングライト付きのLEDタイプで最新モデルらしいオーラも十分なマシンに仕上がっている。

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解説記事更新日：2024年06月05日

2020年式を最後に国内ラインアップから姿を消していた「スクランブラー フルスロットル」だが、2023年モデルでは800㏄クラスがフルモデルチェンジを受けた。そして、このタイミングで本機もリニューアルデビュー。マシンの約70%が設計見直しとなるという大幅な刷新が行われていた。世代交代によって変更された主なポイントは以下の通り。

・フレーム新設計
・電子制御スロットル採用
・ライディングモード採用
・マフラーデザインへ鋼
・メーター仕様変更
・ホイールデザイン変更
・シートデザイン変更
・カラーチェンジ

車体はスチール製のトレリスフレームで継続されるが、その構造はフロントセクションとリヤセクションに分割する設計が採用された。この新型フレームで従来以上にスポーティな操作フィーリングへと進化。エンジンは803㏄空冷2バルブL型ツインで変更は無いが、スロットル制御が、ついにライド・バイ・ワイヤで電子化された。この恩恵としてライディングモード選択機能が追加されている。実装された。スペックは8,250回転73馬力・7,000回転65.2Nmというスペック。走行モードは、「ロード」と「ウェット」の2タイプで、トラクションコントロールも採用されて実用性が大きく向上。
そして駆動系統は、アップ&ダウンの双方向に対応するクイックシフトが標準装備となる。ちなみにエントリーモデルの「アイコン」や「ナイトシフト」に関してはアクセサリー扱いだった。

各部のリニューアルで全面的な刷新が図られた2023年式の次世代「スクランブラー フルスロットル」は、「GP19レッド×ダークステルス」の1カラーを設定。価格は147.5万円(税込)で発売された。

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解説記事更新日：2024年06月05日

「Next Gen Freedom」というコンセプトのもとに刷新された新世代「スクランブラー」シリーズ。その中でもアメリカのフラットトラッカースタイルを採用してスピード感あふれるマシンが、本モデル「スクランブラー フルスロットル」だ。
2024年モデルでは目立ったアップデートを受けることなく、前年と同じ仕様でラインアップを継続。日本国内向けに導入されたカラーリングと価格は以下の通り。

・「Rosso GP ‘19」　149.9万円(税込)

カラーバリエーションは1タイプで、グラフィックデザインも2023年式から変更は無い。
サイドカバーには大胆な「62」のナンバーグラフィックが配される。この数字は、ドゥカティ初の「スクランブラー」がデビューした1962年にちなんだもの。また、タンクサイドの「SCRAMBLER」グラフィックは、同じシリーズの「アイコン」や「ナイトシフト」には無いインパクトのあるデザインだ。日本仕様の価格に関しては、前年比で2.4万円の値上げとなっていた。

メカニカルも前年通りで、エンジンはユーロ5に適合する空冷L型ツインを搭載する。803㏄のSOHC2バルブユニットは、8,250回転73馬力というスペック。最大トルクは7,000回転で65.2Nmを発生する。ノスタルジックなスタイルながらも電子制御スロットルを採用しており、「ロード」と「ウェット」の2タイプから走行モードを選択できる。エキゾーストにはテルミニョーニ製のサイレンサーを採用するなどスポーティな要素も取り入れられている。
クイックシフターやトラクションコントロール、コーナリングABSといった電子制御システムも標準装備となる。

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解説記事更新日：2024年03月28日