STX1300パンヨーロピアンは、欧州向けに製造販売された輸出専用車です。なお米国向けの同じ車種は【ST1300】です。
前モデルは【ST1100】で、それをフルモデルチェンジ。特徴をあげていくと、
・水冷4ストDOHC縦置きV型16バルブ1,261cc、最大出力118馬力/8,000回転
・インジェクションを採用
・シート下までほぼ完全にカバーしたフルカウル
・ABS・非ABSモデルともに前後連動ブレーキ「D-CBS」を装備
・フロントサス：45mmの大径フォーク+エアアシスト、リア：モノサス
・電動スクリーン
・膝間5+シート下29リットルの2分割ガソリンタンク
・デフォルトの左右パニアケース
・5速ミッション、シャフトドライブ
・左右2本出しマフラー
・カウル下部の転倒防止用ストッパー
・アルミフレーム
・中央に大径スピードメーターを配した見やすいメーター、ヘッドライト光軸調整ノブつき
ST1100との最大出力・最大トルク・重量差は次のとおりです。
・ST1100　100馬力/7,500回転、11.3kgf/6,000回転、装備320kg
・ST1300　126馬力/8,000回転、12.5kgf/6,500回転、装備331kg
これらスペックを見れば、ホンダが欧州市場においてBMW勢に対抗すべく、本気を出して作った大型ツアラーであることがよく分かります。事実欧州市場では高い評価を得て、それに応えるべくホンダは純正のタンクバッグ、トップケース、パニアインナーケース、オーディオセットなどをオプション販売しました。
2004年には【ST1300PA】として英国をはじめ世界じゅうで白バイにも採用されました。

エンジンの吹け上がりもスムーズで、やや高周波の音を奏でながら軽くレッドゾーンまで回ります。長年蓄積したV4エンジンテクノロジーのたまものです。
マイナーチェンジ歴は、
2003年：レギュレーター/整流器などを改善
2006年：スロットルバイワイヤへ変更、メーターパネルの温度計などを変更
2008年：グラフィック変更とフロントフェンダー小改善
2009年：リアカウルデザイン変更、EFIアップデートなど
2011年：ABSシステムをリニューアル
注意しておきたいのは、リバースシステムがないことです。ABS車は非ABS車より3kg重くなりますが、装備重量は約320kgに達します。また欧州仕様の800mmシートはやや高いです。
ライバルは、BMW【K1600GT】【R1250RT】、ヤマハ【FJR1300A】、カワサキ【1400GTR】ホンダ【ゴールドウイングGL1800】などです。リバースシステムを搭載している車種もあり、この点STX1300は分が悪いです。
STX1300パンヨーロピアンは2009年まで製造され、2013年頃まで在庫が販売されました。理由は、設計が古いことによる排ガス規制への対応、ライバルのメカニズムの進化、2010年代からのアドベンチャーモデルの台頭などです。しかし、輸出に特化して作られた総合力は、パワー、ハンドリング、快適性、高速安定性などを高次元で融合させ、非常に高い評価を得たと言えます。
輸出専用モデルで日本国内での認知度は低いですが、STX1300パンヨーロピアンは、隠れた名車と言えるのです。
後継機種は、同じエンジンを使った【CTX1300】、路線を引き継いだ【NT1100】です。
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解説記事更新日：2024年03月06日

STX1300は、前モデル【ST1100】の排気量をアップ、欧州車ツアラーの対抗馬としてさらにリファインされたモデルです。「STX1300パンヨーロピアン」とは欧州向け車名で、米国向けは「ST1300」です。STX1300にはABSあり/なしの2タイプがあり、ABSモデルは車重が3kg重くなります。
欧州ライダーのスタイルに合うようツアラーとして数々の装備が搭載されており、高速で長距離を快適に移動するためのフルカウル、電動スクリーン、29リットルガソリンタンク、左右パニアケース、シャフトドライブなどが特徴です。
エンジンは4スト水冷縦置きV型4気筒16バルブの1,261cc、最大出力118馬力を8,000回転で発生します。排気量はST1100より増えましたが、前後サイズは51mm小さくなっています。インジェクションと気筒あたり4バルブの恩恵で吹け上がりはスムーズ、大容量タンクのおかげで無給油500kmぐらいは走れます。ミッションは5速です。
斬新なメカも搭載しており、軽量化のためのアルミフレーム、低重心を図るための2分割ガソリンタンク（膝間5+シート下24リットル）、完全な横倒しになるのを防ぐカウルストッパーなどはSTならではのメカニズムです。
フロントフォークは45mmの大径、サスペンションはエアアシストです。リアはモノサスとなっています。
マイナーチェンジ歴は2004年にカラーリング追加と電装系改良、2005年ではフレームやサスペンションの小変更があります。
その信頼性の高さから、2004年には英国をはじめ世界じゅうで白バイとして採用されました。車名は【ST1300PA】です。
このようにSTX1300は優れたツアラーで、今もオーナーからは高い支持を得ています。しかし輸出専用車のため日本国内での知名度は低く、国内中古車市場での流通はほとんどありません。そのためホンダ、ツアラー、他者とかぶらないバイクが欲しい方にはうってつけかもしれません。
完成度は高いですが、装備で約320kgの車重と、リバースシステムがないことには注意しておきましょう。駐車するときの地面の傾斜、坂道には要注意です。ただし倒してしまっても、前述したストッパーで車体は水平にはならず、傷もつきにくいです。
ライバルは、BMW【R1200RT】（2005～18年）、ヤマハ【FJR1300A】（2001～06年）、カワサキ【1400GTR】（2008～16年）、ホンダ【ゴールドウイングGL1800】などです。
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解説記事更新日：2024年03月04日

2006年以降もSTX1300パンヨーロピアンは欧州向けの輸出専用モデルとして製造販売されています。
2006年、アクセル操作をスロットルバイワイヤへ、ギアインジケーターや温度計を含むメーターパネルの変更を受けました。カラーリングはブラックカラーが追加され、これで3色《レッド》《シルバー》《ブラック》がラインナップされました。
2008年にはタンクのグラフィック、フロントフェンダーデザイン変更など。
2009年、高速域で不安定になる症状を改善、インジェクションプログラム変更、ホイールデザイン変更など、かなり大きな変更が加えられています。
エンジン、車体基本コンポーネントは従来と同じです。1,261cc の4スト水冷縦置きV型4気筒は、最大出力118馬力を8,000回転で発生します。エンジンサイズは前モデルST1100より小さくなっています
ユニークな装備としては、2分割されて低重心化に貢献しているガソリンタンク（合計29リットル）、完全な横倒しになることを防ぐカウルストッパー、があげられます。
フロントサスは45mmの大径フォークエアアシストで構成され、リアはモノサスです。ます。フレームはアルミ製、駆動方式は5速ミッション+シャフトドライブです。
車重が乾燥で280kg以上あるため、ブレーキも強力です。フロントは 310 mm フローティングダブルディスク+ 3ピストンキャリパー、リアは3ピストンキャリパーと316 mmディスクとなっています。ABS、非ABSモデルがあり、共に前後連動ブレーキ「D-CBS」を装備しています。
STX1300は高速安定性と信頼性の高さから、英国をはじめ欧州の各国で白バイとしても採用されています。これもも特筆すべきことがらです。

欧州のライダーは週末に夫婦や恋人でロングツーリングに出かけることが多く、STX1300パンヨーロピアンには、それら需要に応えるべくホンダ純正アクセサリーが販売されています。アイテムとしては、ミラー整流板、28リットル容量のタンクバッグ、45リットルトップケース、CDチェンジャー、高音質スピーカー、パニア用インナーバッグ、12Vソケット延長ケーブル、グリップヒーターなどです。左右パニア自体、ノーマルでヘルメットが入る深さがありますから、これだけあれば2人で2,3泊のツーリングは十分可能でしょう。
装備を見ても分かるように、STX1300はとても優れたバイクです。ただし輸出専用車ということから、日本国内において中古車として取引される台数は年間数台です。
ライバルは、BMW【R1200RT】、ヤマハ【FJR1300A】、カワサキ【1400GTR】などです。
2006年モデル以降STX1300パンヨーロピアンのご売却やお乗り換えをお考えでしたら買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションへ！

解説記事更新日：2024年03月04日