トライアンフがリッターオーバーアドベンチャーとして2013年から展開していた「タイガーエクスプローラー」シリーズは2018年に世代交代が行われた。そこで登場したのが「タイガー1200」シリーズだった。引き続きオンロードタイプの「XR」系とオフロード志向の「XC」系という2系統が用意されていた。その「XC」系の上級グレードとなるのが、本機「タイガー1200 XCA」となる。日本国内向けは同年3月に導入された。

シャシーはスチールチューブラ製トレリスフレームで、ボア・ストロークが85mm×71.4mmの1,215㏄水冷DOHC4バルブ並列3気筒ユニットを搭載する。パワートレインのサイズ自体は先代モデルと同じだが、最高出力は2馬力アップの9,350回転141馬力仕様。ただ、最大トルクは7,600回転122Nmとなっていて、「タイガーエクスプローラー XCA」の6,200回転123Nmからダウンしている。しかしながら数値上ではスペックが低下したかのようにも感じさせるが、マシン重量が従来比で10kg軽くなっているので、実質的にはパワーアップした。ライディングモードは、「ロード」・「オフロード」・「オフロード プロ」・「スポーツ」・「レイン」・「ライダー」の6タイプから選択可能。
駆動系統にはシフトアップとダウンの双方向に対応するトライアンフオリジナルのクイックシフト「シフトアシスト」を標準装備。その6速ミッションを介して、エンジンの動力はシャフトドライブ経由でリヤタイヤへ伝達される。ちなみに弟分モデルで同時期に展開された「タイガー800」シリーズはチェーンドライブを採用していた。

足回りは、フロントにオフロードパーツで信頼性の高いWP製48mm倒立フォークを採用する。リヤもWP製のモノショックを片持ちスイングアームにセット。調整機能は電子制御セミアクティブ式の豪華バージョンだった。その高性能サスペンションキットにフロントは19インチのクロススポークホイールと305mmダブルディスクにブレンボ製モノブロック4ピストンラジアルマウントキャリパーを組合せる。リヤは17インチホイールに282mmディスクとニッシン製2ピストンキャリパーという構造。安全装備のABSは切り替え可能タイプを採用する。

ちなみに新型「タイガー1200 XC」系は、本機の他に下位グレードの「XCx」も存在するが、日本仕様としては上位グレードの本機「XCA」のみ導入された。ベーシックグレードの「XCx」は、「XCA」に標準装備となった大型スクリーンやArrow製サイレンサー、シートヒーター、クイックシフト、ヒルホールドコントロールといったアイテムは装着されていなかった。

ライバルモデルとしては、2019年にBMWモトラッドが展開した「R1250GS アドベンチャー」が台頭した。本機より5kg重い278kgの車体に搭載するエンジンは、136馬力・143Nm仕様の1,254ccボクサーツイン。燃料タンク容量は「タイガー1200 XCA」より10L大型の30Lタイプを採用する。スペック面、実用面ともに「R1250GS アドベンチャー」が優れているようにも見えるが、シート高は890mmと高い。対する本機は855mmと835mmの2段階調整式で足つき性が良かった。

なおデビュー以降の「タイガー1200 XCA」は、目立った仕様変更を受けることなく2021年式まで販売されて、2022年に後継モデルの「タイガー1200 ラリー」へ世代交代となった。

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解説記事更新日：2024年08月04日

2018年、タイガーシリーズがフルモデルチェンジされました。そのうち日本にも輸入されたのが最上位機種1200XCAです。
トライアンフと聞くと、「古き良き英国車」というイメージがあり、それは一方では事実なのですが、タイガー1200などのアドベンチャーモデルもまた、トライアンフの傑作です。
タイガー1200XCAは、スタイリングでよく分かるように、アドベンチャーモデルです。くちばしのあるフロントマスク、エンジンアンダーガード、アップマフラー、オプションのトップケース+左右パニアケースなどがそれを具体的に物語っています。
特徴は、
・エンジンは水冷4ストDOHC並列1,215cc 3気筒、最大出力は141馬力/9,350回転
・エンジンのみで前モデルから10kg軽量化
・前19+後17インチスポークホイール
・シャフトドライブ
並列3気筒エンジンは、〈2気筒に近いスリムさとトルク+4気筒に迫るパワー〉を持つと考えることができます。日本のメーカーではヤマハが、古くは【GX750】、最近では【MT-09】に採用しています。
21世紀のアドベンチャーモデルらしいハイテクも、特筆すべきものがあります。
具体的には、ヒルホールドコントロール（坂道でフロントブレーキを一度握ると発進までブレーキがホールドされる）、シートヒーターを標準装備。他には、シフトアシスト、LEDコーナリングライト、6パターンのライディングモード、ABSブレーキ、トラクションコントロール、シフトアシスト、USBポート、可変スクリーン、5インチ角度可変TFT液晶メーター、フルLED灯火などです。
ライバルは、BMW【R1200GS】、ドゥカティ【ムルティストラーダ1200】です。
スペックを比較すると、
・タイガー1200XCA　水冷並列3気筒、141馬力、236.4万円
・ムルティストラーダ1200　水冷L型ツイン、150馬力、219万円
・R1200GS　空・油冷水平対向2気筒、125馬力、228.6万円
タイガー1200XCAの特徴は、やはり並列3気筒エンジンにあります。パワフルかつトルクフル、振動も少ない乗り味は、このレイアウトならではのものです。と同時に、英国車トライアンフの伝統を引き継いだハイテクアドベンチャーモデルです。
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解説記事更新日：2022年10月12日

先代モデルからフルモデルチェンジを受けて10kgの軽量化でポテンシャルアップを実現した「タイガー1200 XCA」だが、デビュー2年目となった2019年式は世代交代から間もないタイミングで目立った仕様変更は無かった。北米仕様のカラーバリエーションと価格は以下の通り。

・継続「マリーン」　22,000USドル
・継続「クリスタルホワイト」　22,000USドル

カラーリングは、シンプルなホワイトとシックなイメージのダークブルーという2タイプで継続。エンブレムのデザイン含めグラフィックパターンも前年通りとなった。

コンパクトスリムなトレリスフレームと1,215cc水冷トリプルの組み合わせは、「タイガー エクスプローラー」世代から変わらないが各部の見直しで軽量化に成功し、扱い易さとマシンパフォーマンスが向上している。エンジンスペックは、最高出力が9,350回転141馬力という仕様。最大トルクは7,600回転で122Nmを発生する。走行モード選択機能には、電子制御プログラムの介入を好みや走行シチューエーションに応じて変更可能な「ライダー」メニューも用意されている。

軽量化されたと言ってもマシン重量は278kgのヘビー級。そのマシンを安全にコントロールすべくヒルホールドコントロールが標準装備。坂道発進や悪路走行時などでも安心だ。そしてシート高も「タイガー」シリーズの特徴ディテールだが、2段階で調整できる。本機は855mmと835mmから変更可能だった。ちなみに日本市場には導入されていないが、海外マーケットで展開されていたベースグレードの「XCx」には、この機能が実装されていなかった。

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解説記事更新日：2024年08月04日

新世代「タイガー」フラッグシップとなる「1200」シリーズは、2020年ラインアップに特別仕様モデルを設定した。オフロード志向の「XC」シリーズには、ミッドグレードの「XCx」をベースにした「タイガー1200 デザートエディション」を展開。専用カラーにArrow製チタンサイレンサー、クイックシフト、コーナリングABS&トラクションコントロールなど各部に豪華装備を追加したスペシャル仕様で、日本向けは265万円(税込)で導入された。
なお「XC」系の上級グレードに位置する本機「XCA」は、特別モデルの設定やアップデートは無く前年からキャリーオーバーだった。カラーリングも2020年モデルデビュー時から変わらず以下の通り。

・継続「クリスタルホワイト」　22,000USドル
・継続「マリーン」　22,000USドル

マシンの心臓部は、9,350回転で141馬力を発生する1,215ccの水冷トリプルユニット。最大トルクは7,600回転122Nmというスペック。ハイパワー高トルクの動力は、シャフトドライブを介して17インチのクロススポークリヤホイールへ伝達される。6メニューのライディングモード選択機能やクイックシフター、ヒルホールドコントロールといった電子制御プログラムによってライダーの意のままに操れるパワーユニットだ。

足回りにも電子制御が組み込まれている。サスペンションキットは、オフロードパーツで実績と信頼を積み重ねてきたWP製を採用。ダンピング調整は電子化されていて走行シーンに応じて的確なセッティングに調整される。

買替や売る際の買取査定は、2020年式 タイガー1200 XCAの中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2024年08月04日

トライアンフのアドベンチャーシリーズにおいてオフロードタイプの旗艦モデルとなるのが本機「タイガー1200 XCA」だった。2018年の登場以降、目立ったアップデートを受けることなく継続ラインアップされてきたが、デビュー4年目となる2021年式が早くも最終仕様となる。そしてこの最終年に至っても変更ポイントは無く、「タイガー1200 XCA」のデビューモデルが最終モデルということになった。
カラーバリエーションも「クリスタルホワイト」と「マリーン」の2タイプで、価格もUS向けが据え置きの22,000ドルだった。

スチール製トレリスフレームに搭載するパワーユニットは、ユーロ4に適合する1,215㏄の水冷トリプル。最高出力は9,350回転141馬力仕様で、最大トルクは7,600回転で122Nmに到達する。トランスミッションには下位グレードの「XCx」には搭載されなかったアップ&ダウンの双方向に対応するクイックシフトが標準装備となる。街中走行から未舗装路の長距離移動など様々な走行シーンで快適なライディングを可能にする電子制御システムだ。

足回りにも電子制御が組み込まれていて、WP製のサスペンションキットの調整機能は手動ではなく自動で電子制御される。そのセッティングやマシンのコンディションはコクピットに設置されるTFT液晶メーターディスプレイで確認可能だった。ちなみにこのセミアクティブサスペンションや液晶メーターパネルといった最新装備はベーシックグレードの「XCx」に採用されていた。

なお2018年式から日本市場に正規導入されてきた本機「タイガー1200 XCA」は2020年式をもって生産終了に至った。後継モデルは2021年に150馬力仕様の1,160㏄エンジンを搭載してデビューした「タイガー1200 ラリー」シリーズ。

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解説記事更新日：2024年08月04日