「CBR1000RR-R ファイアブレード SP」は、モデル末尾に「SP」が付されない通常モデルと同時に2020年3月に発売された大型スーパースポーツバイクである。1992年に登場した元祖モデルとなる「CBR900RR」からのテーマ「操る楽しみにの最大化」を引き続き受け継いでいる。
シリーズ6代目となるSC82型の本モデルは、サーキットユースを想定して開発されている。従来モデルまでは、ワインディングを想定して開発されてきたシリーズだっただけに今回のモデルチェンジで方向性を変えてきた格好だ。
パワートレインは、MotoGPに参戦しているレーシングバイク「RC213V」で培われたノウハウをフィードバックした水冷4ストロークDOHC4バルブ直列4気筒のSC82E型を搭載。ボア・ストロークは「RC213V」と同じだ。さらに大径バルブの採用や低フリクション性に優れたコーティング処理をロッカーアームやカムシャフトに施行するといった細部に至るまでレーシングマシンに近い仕様となっている。
また最新の電子制御機構も採用している。BOSCH製の車体姿勢制御システムは従来モデルよりも精度が進化した。ステアリングダンパーはSHOWA製のロッド式電子制御タイプを新たに採用。さらに「SP」タイプの特別仕様としてサスペンションは、OHLINS製の電子制御モデルを搭載している。サーキットユースを想定しているだけあり、ABS機構はモードの切り替えやスタートモード制御といった機能が追加された。
「SP」タイプのカラーリングは、「グランプリレッド」の1カラー展開である。
車両価格は2,530,000円(税別)となっており、先代モデルSC77型「CBR1000RR SP」2019年モデルの2,310,000円(税別)から230,000円(税別)高くなった。
「CBR1000RR-R ファイアブレード SP」は、「CBR」シリーズ最上級モデルの中のスペシャルバージョンとして相応しい、ハイスペックなスーパースポーツバイクである。

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解説記事更新日：2021年08月27日

ホンダの「CBR」シリーズ最高峰モデルがフルモデルチェンジによって「CBR1000RR-R」へ進化。同時に上級グレードとなる「CBR1000RR-R SP」も展開された。
SC82型のデビューモデルとなった2020年式は同年3月に253万円(税別)で発売。スタンダードグレードよりも33万円高の価格設定だ。
カラーリングは、レーシーな雰囲気溢れるトリコロールタイプ「グランプリレッド」で登場した。
車体は新設計の軽量アルミ製ダイヤモンド型フレームで、パワートレインも新設計となるDOHC4バルブ水冷直列4気筒エンジンSC82E型を搭載。ボア・ストロークが、81mm×48.5mmのショートストロークユニットで排気量999㏄だ。レーサーマシン「RC213V」譲りのアルミ製鍛造ピストンやチタンコンロッドを採用して軽量化を追求したユニットだ。最高出力は14,500回転で218馬力を発揮。車両重量は201kgとなる。
ちなみに先代モデル「CBR1000RR SP」の最終仕様2019年モデルは、195kgの車体で13,000回転192馬力というスペックだった。車体の重量は増加しているが、それを上回るパワーを与えられており確実な進化を遂げている。
なお、本モデルとスタンダードグレードの違いだが、「SP」モデルはオーリンズの電子制御サスやフロントブレーキキャリパーにブレンボ製を採用するなど足回りが豪華な仕様に変更されている。
ライバルモデルとしては、カワサキの「Ninja ZX-10RR」と比較できるだろう。2019年モデルで国内にも正規展開されたマシンで公道モデルだがサーキットユースを想定している。206kgの車体に搭載する心臓部は13,500回転で213馬力(ラムエア加圧)を発揮する。本モデルより非力だが、一人乗り仕様というスパルタンで割り切ったスタイリングが特徴だ。
価格は292万6,800円(税込)で「CBR1000RR-R SP」より高かった。

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解説記事更新日：2022年05月11日

国内リッターフルカウルスポーツカテゴリでハイスペックを誇る「CBR1000RR-R SP」は、2022年3月に最初のマイナーチェンジを実施。
従来モデルでは、スタンダードグレードが2カラーバリエーションで「SP」仕様の本モデルは1カラー設定だったが、今回の2022年モデルは逆の展開で、本モデルにトリコロールタイプの「グランプリレッド」と都会的で精悍なイメージの「マットパールモリオンブラック」の2カラーが用意された。ホイールはいずれもゴールドカラーが採用されている。価格は、据え置き価格の253万円(税別)に設定された。
さらに同年の4月には、本モデルのルーツとなる1992年に登場した「CBR900RR」の発売30周年記念として「CBR1000RR-R SP 30th アニバーサリー」も登場。ボディカラーには、デビュー当時の「CBR900RR」をイメージしたホワイトベースのトリコロールカラー「パールグレアホワイト」が設定された。価格は258万円(税別)で発売された。特別装備としては、トップブリッジのシリアルナンバーや30周年記念マークがスマートキーや燃料タンク上部にレイアウトされる。
パワートレインは、引き続きDOHC4バルブの水冷直列4気筒エンジンSC82E型を搭載。最高出力は従来モデルと同じ、14,500回転218馬力というスペック。最大トルクは12,500回転で113Nmを発揮する。こちらも数値上の変化はないが、吸気ポートやえきぞーずとパイプ集合部の形状変更が実施され、ドリブンスプロケの丁数も変更されていることから中速域の加速性能が向上している。また、リニアなスロットルレスポンスをさらに鋭くするため、エアクリーナーボックスやスロットルバイワイヤのリターンスプリングが変更されている。
ライバルモデルとしては、ヤマハの「YZF-R1M」が台頭している。202kgの車体に200馬力を発揮する998㏄エンジンを搭載。パワー面では、201kgで218馬力を発揮する本モデルが格上となる。シート高は、「YZF-R1M」が860mmで「CBR1000RR-R SP」が830mmで足つき性にも優れている。

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解説記事更新日：2022年05月11日

「ファイアーブレード」シリーズの上級グレードに位置する本モデル「CBR1000RR-R SP」は、2024年式で「“TOTAL CONTROL” for the Track」というコンセプトをさらに進化させるマイナーチェンジを実施。適用された主なアップデート内容は以下の通り。

・2モーター式スロットルバイワイヤ採用
・クランクシャフト形状変更
・バルブタイミング&リフト量変更
・ピストン頭部の形状変更
・圧縮比アップ
・ミッションギヤ比変更
・カウル形状変更など

サーキットでの戦闘力をアップすべくエンジン内部の最適化をメインにしつつ、電子制御システムのアップデートも受けていた。ホンダの2輪マシンとしては初採用となる2モーター式のスロットルバイワイヤ(TBW)が実装され出力特性やエンジンブレーキ特性が変化した。999ccの直列4気筒ユニットは、最高出力と最大トルクのいずれも従来の218馬力・113Nmとうスペックから変わりは無いが、ピークに到達するタイミングは500回転下がって、それぞれ14,000回転と12,000回転となっている。同時に走行モード選択機能のパラメータも見直されたことで操作フィーリングも変化した。
足回りは従来通りで、上級グレードの「SP」タイプとなる本モデルはベースグレードのショーワ製BPF倒立フォークに代わってオーリンズ製のNPXフォークがセットされる。リヤサスペンションも同じくオーリンズのTTX36が採用されて「Smart-EC3.0」による電子制御仕様だ。そしてフロントブレーキのキャリパーはブレンボ製で優れた制動力を発揮する。
外観スタイルは、カウルデザインが見直されて空力性能に優れたウィング形状を新採用した。

比較対象としては、BMWモトラッドの「S1000RR」が台頭する。マシン重量は本モデルより1kg重い202kgとなる。エンジンは最高出力が13,750回転210馬力、最大トルクが11,000回転113Nmという仕様。スペック勝負では「CBR1000RR-R SP」が格上ということになる。

なお2024年式の本モデルは、「グランプリレッド」と「マットパールモリオンブラック」の2カラー展開。価格は284.9万円(税込)で販売された。ちなみに無印グレードは248.6万円(税込)だった。

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解説記事更新日：2024年03月03日