1902年にオートバイ1号機を発表したTriumphにおいてクラシックモデルとしてラインナップされている「ボンネビル」シリーズ。そのルーツは1959年に登場した当時の最速市販車「ボンネビル T120」。650ccエンジンを搭載した初代T120は1975年に生産終了に至ったが、2016年に同機種名の復刻版が発売された。それが本機「新型ボンネビル T120」である。
トライアンフの現行ラインナップには伝統の機種名を冠したシリーズが多く存在する。例えば1937年の「タイガー70/80/90」由来のタイガーシリーズであり、現行ではアドヴェンチャーモデルとして多彩なラインアップを誇っている。更に1938年の「スピードツイン」由来の3気筒トリプルシリーズ。他にはトライデントや血縁BSA由来であるがロケット3もそうであろう。そして「ボンネビル」は往年のスタイリングをオマージュしたモダンクラシック（ネオクラシック）にカテゴライズされシリーズ展開されている。

本機「新型ボンネビル T120」には1200ccエンジンが搭載されているのだが、最大の特徴はボンネビル伝統の「空冷バーチカルツインエンジン」を「水冷」へと変更された点だ。
シリーズの歴史を紐解くと、1959年の650cc「初代ボンネビル T120」と、1974～82年に製造販売された724cc「ボンネビルT140」が第一世代に当たる。
第二世代には、完全新設計で2001～15年に製造販売された790cc（07年に865cc化）「ボンネビル」と、その上位グレードとして2002年に登場し22年現在も現行である790cc（05年に865cc化、16年に899cc化）「ボンネビル T100」、そして特別機として登場した2009～12年の「ボンネビルSE」、2015年の「ボンネビル スピリット」などが当たる。ここまで空冷バーチカルツインエンジンを採用されてきたのだが「新型ボンネビル T120」で遂に水冷化された経緯を持つ。
第3世代ともいえる進化を遂げた「新型ボンネビル T120」が登場した2016年モデルでは、2002年から継続しているボンネビル T100も水冷化を果たしている。
バリエーションモデルには、クルーザータイプとして2002年に投入された「アメリカ」、14年の「アメリカLT」、2017年～「ボバー」、18年～「スピードマスター」が存在するが、同様に2016年以降モデルでは水冷化されている。

「水冷化」は当初賛否を呼んだが、発売されて見れば、水冷エンジンは空冷用のフィンを残していたためか、136万円～（以下いずれも税抜）という価格設定も影響したのか、結果好調な売り上げを記録した。
そのパワーユニットであるが、登場16年モデルの最高出力は80馬力(6,650回転)、最高トルクは105n・mと(3,100回転)と低回転寄りでワイドなパワーバンドを確保している。先代865cc「ボンネビル」の国内向け最終機が最大68馬力(6,500回転)であり、2016年モデル899cc化「ボンネビル T100」は最大55馬力(5,900回転)という仕様であったことから1200cc化と水冷化に伴いパワーアップしている他、先代比で10％以上の燃費効率向上も果たしている
因みに、国産リッタークラスのネオクラシック「CB1100」の2017年モデルは最大90馬力(7,500回転)、91N・m(5,500回転)という仕様で106万円のメーカー希望小売価格（以下いずれも税抜）が設定されていた。
ハーレーやDucatiといった海外勢に比べると比較的廉価な設定を継続しているTriumphらしく、メーカー希望小売価格は国産車と戦える設定になっていた。
進化はパワーユニットに留まらず
・ライド バイ ワイヤ
・スロットル・バイ・ワイ
・トラクションコントロール
・ABS標準装
・トルク アシスト クラッチ システム
・グリップヒーター/USBソケット/イモビ/タンデムバー
など、走行性能や機能面でも先代比でアップグレードを果たしている。
さらに上位カラーとして、エンジン・エキゾースト・ホイールリムなどブラックアウトしたボンネビルT120ブラックも設定されている。

登場後はカラー変更でイヤーモデルを重ねつつ2021年には大きなアップグレードを遂げている。
・ユーロ5対応を果たしたエンジンユニット
・7kgの軽量化
・新型アルミホイール
・フロントにBremboキャリパー採用
・クルーズコントロール標準装備
・ライディングモードのアップデート

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解説記事更新日：2023年01月21日

2016年に新登場したボンネビル T120の初期モデル。
トライアンフの名車、1959年のボンネビルT120の復刻モデルとも取れる立ち位置で登場した本車。エンジンには水冷4ストロークSOHC並列2気筒を搭載。最高出力は80PS/6,550rpmを発揮した。
中身は現代的な作りになっていながら外観はクラシカルな雰囲気を残してあり、水冷エンジンながら空冷エンジンのような冷却フィンが付いている点や、インジェクションのボディをキャブレター風にカバーしている点など、ヴィンテージ風のデザインと造り込みの細かさは英国の由緒正しいバイクメーカーのトライアンフならではである。
カラーバリエーションにはクランベリーレッド×アルミニウムシルバー、ジェットブラック×ピュアホワイト、シンダーレッド、ジェットブラックの4色を設定。
新車販売価格は145万円だった。
ベースとなったT100との違いはディスクブレーキがシングル→ダブルになっておりミッションが5速→6速になっている。また、外観ではT120はメッキ加工のパーツが多用され大排気量モデルとして高級感も増していた。
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解説記事更新日：2021年09月25日

仕様変更はなく発売された2017年モデルのボンネビルT120。
カラーバリエーションも前年から引き続きクランベリーレッド×アルミニウムシルバー、ジェットブラック×ピュアホワイト、シンダーレッド、ジェットブラックの4色を設定。
北米仕様の新車販売価格はUSD＄10,700だった。
ネオレトロの人気が高まり始めていた当時、ライバル車といえばカワサキのW800が挙げられるだろう。2016年モデルのW800 Final Editionの最高出力は48PS/6,500、乾燥重量は199kgで2台のパワーウエイトレシオを比較するとW800は4.14Kg/PS、T120は2.18kg/PSで加速性では排気量の大きいT120が優っていた。ちなみに2台のパワーバンドはW800は2,500rpm〜6,500rpm、T120は3,100rpm〜6,550rpmとW800の方が若干低回転寄りとなっている。ディーラーにもよりけりながら国内での新車販売価格はW800が40〜50万円ほど安かったこともあり、価格面ではW800の方がT120と比べて手が届きやすかったと言えるだろう。
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解説記事更新日：2021年09月30日

仕様変更は受けずに発売された2018年モデルのボンネビルT120。
カラーバリエーションも前年から引き続きクランベリーレッド×アルミニウムシルバー、ジェットブラック×ピュアホワイト、シンダーレッド、ジェットブラックの4色を設定。
北米仕様の新車販売価格はUSD＄12,300だった。
ちなみにボンネビルT120は雨上がり決死隊のトーク番組”アメトーーク”のバイク大好き芸人第4弾にて芸人のチュートリアル徳井義実の愛車として登場。2018年に正規店から購入したものであるということ2018年モデルである可能性は高い。千原ジュニアのカワサキ マッハⅢやヒロミのCB750と並んでクラシック&イングリッシュなT120が一際輝いて見えた。
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解説記事更新日：2021年09月30日

カラーチェンジを受けて発売された2019年モデルのボンネビルT120。
カラーバリエーションにはフュージョンホワイト×アージャンホワイト、コンペティショングリーン×フュージョンホワイト、ジェットブラック、アルミニウムシルバーの4色を設定。
新車販売価格は153万円だった。
また、同年には2台の特別仕様モデルが登場。まず4月に発売されたのがカフェレーサー発祥の地であるイギリスのACEカフェとコラボレーションしたボンネビルT120 ACEだ。同社では2014年にスラクトンACEを発売したのに続いて2台目となるACEモデルで、ブラックのボディにAce Cafeペイントスキームを設定、インテークカバーとエンジンバッジもブラックになり、フェンダーセットアップ、LEDブレットインジケーターなどを搭載。全世界で1400台の限定生産となり、車体ごとのシリアルナンバーに加えてTRIUMPHのCEOであるNick BloorおよびAce Cafeの創立者であるMark Wilsmoreのサインが入った証明書が付属していた。新車販売価格は159.7万円だった。
そして同年5月に発売されたのが1959年の初代T120登場から60年を記念したボンネビルT120 DiamondEdition(画像)だ。
タンクにはスノードニアホワイト×アルミニウムシルバーのユニオンフラッグが施され、Bonneville T120 Diamondというクロームメッキ4バーのタンクバッジを配された。こちらは全世界で900 台の限定生産で、シリアルナンバーに加えてNick Bloorのサインが入った証明書が付属していた。新車販売価格は156.7万円。
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解説記事更新日：2021年09月26日

カラーチェンジを受けて発売された2020年モデルのボンネビルT120。
カラーバリエーションにはストームグレイ×バハオレンジ、フュージョンホワイト、エージャンブルー、ジェットブラック、アルミニウムシルバーの4色を設定。
また、同年には2020年モデルの特別仕様としてボンネビルT120バド・イーキンス スペシャルエディションが登場。2019年11月にEICMA2019で発表され、モデル名のBud Ekins（バドイーキンス）は、1960年代のハリウッドで活躍したプロスタントマン、モトクロスレーサーであり、スティーブ・マックイーン主演の『大脱走』でのバイクスタントもバド・イーキンスにより行なわれていたことからT120とは関係が深かった人物だ。レッド×ホワイトのスペシャルカラーに加えてトライアンフ初となるヘリテイジロゴに加えてスペシャルエディション専用のロゴが各所に配された。新車販売価格は156.7万円だった。
ちなみにこのバド・イーキンス スペシャルエディションは日本での人気も高く、2020年度のトライアンフ東京店での販売台数ナンバー1はボンネビルT120(スタンダードモデルも含む)だった。
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解説記事更新日：2023年01月24日

2021年モデルのボンネビルT120は以下のアップグレードを果たしている

・ユーロ5対応を果たしたエンジンユニット
・7kgの軽量化
・新型アルミホイール
・brembo製キャリパーとディスクを採用
・クルーズコントロール標準装備
・ライディングモードのアップデート
・スイッチハウジングのデザイン変更
・ディメンションの全幅を5mm短縮

パワートレインにカタログ数字上の変更点はないが、機構内部の見直しによってEURO5対応を果たし同時に燃費性能の向上も達成している。
2020年までは乾燥重量で224kgであったが、2021年からは装備重量表記となり236kgとなっている。一見増量しているようにみえるが、ガソリン14L、エンジンオイル3.8L、更にクーラント・バッテリー液・フルード・フォークオイルなど液体総重量約19kg分を20年モデルに加算すると243kgとなり実質的には7kgの軽量化を達成。車体の軽量化には新型ホイールなどが寄与している。
前年までは前後ともnissin製のキャリパーであったのが、フロントにbrembo製を採用。またハンドル幅（全幅）は5mm短くなり780mmとなっている。
大きなアップグレードが入った2021年モデルだが、メーカー希望小売価格は143万円～（税抜）と前年から据え置かれた。
カラーリングは「ジェットブラック」「コバルトブルー/シルバーアイス」「コルドヴァンレッド/シルバーアイス」「マットジェットブラック/マットグラファイト」「ブラック ジェットブラック」5展開。
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解説記事更新日：2023年01月20日

前年の2021年モデルで大幅なアップデートを遂げたボンネビルT120。本2022年モデルでは特別モデルと限定モデルが投入された他、新色が追加されている。
先ず2021年10月に「Bonneville T120 Gold Line Edition」が特別モデルとして、
「ゴールド ライン エディション」は、外装に固有のグラフィックが施された特別機で、タンクとサイドカバーにゴールドのラインが入り、タンクにはgold lineの文字グラフィックが控えめに入っており、メーカー希望小売価格は167万5500円（税込）が設定された。
続いて2022年7月には2022年モデルが発表され、「エーゲ海ブルー＆フュージョンホワイト」と、「サファイアブラック/マットサファイアブラック」が新色で加わった。
「ジェットブラック」「ジェットブラック」「コードバンレッド/シルバーアイス」は継続となり、「コルドヴァンレッド／シルバーアイス」「マットジェットブラック／マットグラファイト」の2色がフェイスアウトとなった。メーカー希望小売価格は対前年から4万8千年値上がりし、モノトーンが162万4,000円、ツートンが166万3,600円（税込）となった。
なお仕様上の変更は無くカタログデータのスペックは前年モデルを引き継ぎ、最高出力80馬力(6,550回転)、最大トルク105Nm(3,100回転)を継続している。
ネオクラシックのライバル機としてはBMWの R nineTや、国産では同じくバーチカルツインを搭載するW800やメグロK3が挙げられる。
同じく2022年モデルのスペックを比較すると以下になる。
・1169ccのボクサーツインを搭載したR nineTは最高109馬力(7,250回転)、最大トルク116Nm(6,000回転)でメーカー希望小売価格は239万円～
・773ccバーティカルツインを搭載したW800やMEGURO K3は最高52馬力(6,500回転)、最大トルク62Nm(6,000回転)でメーカー希望小売価格は108万9,000円

なお2022年10月には「BONNEVILLE T120 CHROME EDITION」が限定機として2023年モデルで投入されることが発表され、172.3万円のメーカー希望小売価格が設定されている。
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解説記事更新日：2023年01月20日