1986年から1999年まで販売されたホンダの2ストエンジン搭載スーパースポーツバイクといえば「NSR250R」である。異なる排気量でラインアップされていた市販モデルの「NSR」シリーズの中でも「NSR250R」はフラッグシップモデルという位置づけになる。
その「NSR250R」3代目モデルとなるMC21型には、スペックに違いのある「NSR250 SE」が設定された。
「NSR250 SE」は，MC18型からMC21型へとモデルチェンジされた1990年2月のタイミングで登場したのではなく、翌年5月に追加設定グレードという形でデビューした。
「SE」グレードは通常グレードと先代のMC18型時代に追加設定された「SP」グレードの中間モデルという位置づけになっていた。通常モデルとの相違点は、クラッチが乾式になっている。これにより湿式クラッチのようなオイルの撹拌抵抗がないためダイレクトな操作感となっている。そして足回りも仕様変更されていた。フロントリアともに減衰力調整機構付きのサスペンションを標準装備していたのだ。ちなみにグレードの「SE」はSports Editionの略である。
「SP」グレードはSports Productionの略で「SE」の装備に加えてマグネシウムホイールを履いている。つまり、通常モデルと「SE」、「SP」の違いは、クラッチ、サスペンション、ホイールの仕様ということになる。パワートレインのスペックに違いはない。
1993年に最終モデルとなるMC28型へとモデルチェンジした際にも「SE」グレードは設定され、標準モデルとの違いはMC21型の時と同様にクラッチとサスペンションの仕様であった。MC28型ではメーカー自主規制によって最高出力が先代モデルの45PSから40PSにダウンした。年々厳しくなる排ガス規制への対応が難しくなり1999年で「NSR250R」は販売を終了した。

「NSR250R SE」は、既に新車で手に入れることは不可能になった貴重な2ストレーサーレプリカということで相場は右肩上がりである。
250ccの2ストレプリカでは最も相場の高いプレミアム車種であるが、年式が高いほど相場は高い。
数年前に高年式の極上車で100万円を超える査定額がつくまでに相場が上がったが、今では200万円の査定額に迫る勢いで価値が急伸している。

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解説記事更新日：2021年07月25日

「NSR250R SE」は、シリーズのスタンダードタイプと「SP」タイプの中間に位置するグレードとして、1991年5月に発売された。
デビューモデルとなる1991年モデルは、当時の全日本ロードレース選手権で2連覇を誇っていたレーサーマシン「NSR250」をイメージしたカラーリングで登場した。全体的な色調やグラフィックはスタンダードグレードの1990年モデルとよく似ているが、シートカウルサイドがグリーンになっている点やホイールカラーにレッドを採用している部分が異なっている。
価格は649,000円(税別)で、通常タイプの609,000円(税別)と「SP」タイプの719,000円(税別)の中間に位置する設定だった。
スペック面での違いは、スタンダードタイプに高効率の乾式多板クラッチを採用。足回りはフロント・リア共に伸び側の減衰力調整が可能。リアに関しては伸び側と縮み側を単独調整可能なアルミ製サブタンク付きショックを装備している。「SP」モデルの採用されていたマグネシウムホイールは装備されていない。
乾燥重量は134kgと通常タイプの132kg、「SP」の133kgと比較して最も重いという仕様。
ちなみにライバルモデルのヤマハ「TZR250R」シリーズも1992年に従来から展開していた通常モデルと「SP」モデルの中間に位置する乾式クラッチ仕様の「RS」モデルを発売した。
両モデル共にクラッチを切った際に響く独特「シャリシャリ」音がレーシーな雰囲気を漂わせる人気のグレードとなった。車重の軽さや倒立フォークを採用している点で、「TZR250RS」がスペック面では魅力的だが、中古バイク市場では「NSR250R SE」がより高値で取引されている。

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解説記事更新日：2021年10月11日

「NSR250R 」シリーズの中でスタンダード仕様と「SP」仕様の中間グレードというポジションで展開された「SE」は、1992年1月にカラーチェンジを実施した。
1991年のデビューモデル同様に全日本選手権ロードレース250ccクラスの参戦車両を踏襲したカラーリングの「レッド×ホワイト」と、さらに今回は「レッド×ブラック」も追加されて2パターンのバリエーションを設定した。パッと見では「レッド×ホワイト」は従来モデルと非常によく似たカラーリングになっている。それでも、よく見ればブラッシュ模様のパターンが違ていたり全体に占めるレッドの部分が1991年モデルよりも多くなっていることに気付くだろう。
「レッド×ブラック」はグラフィックデザインは同様パターンで、「レッド×ホワイト」のホワイト部分をブラックにブルーの部分をシルバーに変更したカラーリングになっている。ホイールもブラック仕様で全体的に精悍なイメージに仕上がっている。ただ中古バイク市場では、圧倒的に「レッド×ホワイト」の個体が多く「レッド×ブラック」は、なかなかお目にかかれない希少カラーだ。
価格は660,000円(税別)で1991年モデルの649,000円(税別)から11,000円値上がりとなった。なお、スタンダードモデルと「SP」モデルも同月にカラーチェンジを実施し、いずれのタイプも同額値上がりとなっていた。
MC21型は「NSR250R」シリーズの完成系とも呼ばれているモデルで、乾式クラッチと減衰力調整機構付きサスベンション装備の45馬力「SE」は1992年モデルが最終型だ。


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解説記事更新日：2021年10月11日

シリーズ最終型となるMC28型の「NSR250R SE」は1993年11月に発売された。
従来モデルのMC21型1992年モデルでは「レッド×ホワイト」と「レッド×ブラック」という初の2カラー展開となっていたが、今回のMC28型1993年モデルでは「レッド×ホワイト」と「ブルー×ホワイト」という2パターンが設定された。グラフィックデザインは両カラーとも同様で、「レッド×ホワイト」のレッド部分が「ブルー×ホワイト」ではブルーに、ブルーの部分はレッドとカラーリングが反転したような配色。ホイールはレッドモデルがレッドで、ブルーモデルはホワイトという構成だった。
中古車バイク市場では、若干「レッド×ホワイト」が多いが、どちらのカラーも個体数は同じ程度流通している。
価格は、720,000円(税別)だった。MC21型最終の1992年モデルは660,000円(税別)だったので60,000円(税別)と大きく値上がりとなった。
新車価格が高くなったもののスペックに関しても大きく進化している。最高出力に関してはメーカー自主規制に対応するために45馬力から40馬力へパワーダウンを余儀なくされているが、リアに片持ちリアアームの「プロアーム」を採用したことやフロントブレーキは新サイズの異径4ポットキャリパを装備していた。
そして機能面での画期的なシステムとしてハイレベルのセキュリティ機能を実現するPGMメモリーカードシステムを搭載した。量産型市販バイクの装備としては世界初採用だった。マシン制御系統のコンピュータは従来の8bitから16bit仕様のPGM--Ⅳへ進化している。
ライバルモデルの「TZR250RS」は一足先にマイナーチェンジを実施して自主規制に対応していたが、本モデルより軽量でありながらフロントサスペンションは倒立フォーク仕様と高い戦闘力を有していた(その分、価格も高かった)。

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解説記事更新日：2021年10月11日

1980年代後半から2ストレーサーレプリカの代表的モデルとしてラインアップを続きけて来た「NSR250R」シリーズも1996年1月に発売された本モデルが最終型となる。
1993年にフルモデルチェンジを実施して、スタンダードタイプと「SP」タイプ、そして本モデル「SE」タイプの3グレード構成で販売されてきたが、その後は「SP」タイプのみ95年モデルを設定。他2タイプの先行きが気になっていたところで、「SE」タイプはカラーチェンジを実施し96年モデルを発売。
カラーラインアップは、「ロスホワイト×スパークリングレッド」と「ロスホワイト×ウヌラスバイオレッド」の2パターン設定され、価格は720,000円(税別)で据え置かれた。
なお、スタンダードタイプは93年モデル以降カラーチェンジすら行われなかった。
時を同じくして発売された「SP」タイプは1,000台限定モデルだったので、「NSR250R」シリーズの最終型は実質的に本モデルとなる。
ライバルモデルの「TZR250SPR」や「RGV250Γ」が一足先に最終モデルを展開し終えていたのだが、96年に突如としてスズキが「RGV-Γ250SP」を発売。2ストV型の40馬力エンジンに倒立フォークを装備し、乾燥重量は134kgと本モデルよりも優れたスペックだった。「NSR250R SE」96年モデルと同様に1999年まで生産されたが、どちらのモデルも今となっては希少な2ストスポーツレプリカ最終モデルということもあって高値で取引されており、相場はここ10年右肩上がだが特に2020年からの上昇が顕著だ。

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解説記事更新日：2021年10月28日

「NSR250R SE」は、スタンダードタイプとスポーツプロダクションタイプ(SP)の中間グレードという位置づけで1991年5月に登場した。
「NSR250R」シリーズ3代目モデルがベースになっているので、リア上がりのクラウチングスタイルに「への字」型ガルアームが特徴的なスタイリングに、減衰力調整機能を搭載した前後サスペンションと乾式多板クラッチが採用されている。
「SP」タイプとの違いは、前後のマグネシウムホイールを履いていないという点だ。
パワートレインはシリーズの3グレード全て共通で、水冷2ストロークV型2気筒のMC16E型エンジンを搭載。最高出力は9,500回転で45馬力を発揮する。なお、後年に国内オートバイメーカーの自主規制によって250ccクラスの最高出力は40馬力へダウンとなったため、「NSR250R SE」の45馬力仕様は、本モデルMC21型が最初で最後ということになる。
ちなみに2ストエンジン搭載の250㏄レーサーレプリカモデルでタイプ別の3グレード構成でラインアップしていたのは、「NSR250R」シリーズだけではない。ライバルモデルとなるスズキ「RGV250ガンマ」は、既に前年の1990年からスタンダードタイプと「SP」タイプ、そして「SPⅡ」の3タイプを展開していた。
本モデルの比較対象となる中間グレードに位置するのは「SPⅡ」で、乾式クラッチを装備しフロントサスペンションは倒立フォーク仕様だった。最高出力は45馬力で同スペックだが乾燥重量は139kgで「NSR250 SE」より6kg重かった。
「NSR250R SE」のデビューモデルとなるMC21型は、1992年にカラーチェンジを実施して2カラーバリエーションとなり1993年にMC28型へモデルチェンジするまで販売された。

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解説記事更新日：2021年11月07日