「NSR250R」は1986年から1999年まで販売された2ストロークエンジン搭載のスーパースポーツバイクである。市販モデルの「NSR」シリーズの中ではフラッグシップモデルにあたる。ちなみに「NSR」は、New Sprint Racingの頭文字から取られている。
モデルライフを通して初代MC16型からMC18 、MC21，MC28と3度のモデルチェンジを行ったが始動方法は一貫してキックのみでセルスターターが装備されることは無かった。
1986年10月に発売された初代モデルは乾燥重量が125kgで、2サイクルエンジン搭載の250ccスーパースポーツバイクとしては当時、最軽量だった。
ベースになっているのは、1985年から2年連続でメーカーチャンピオンを獲得したロードレース世界GP250のレーシングマシン「NSR250」になる。
パワートレインには一軸クランクシャフトを採用、挟み角度90度のV型シリンダー、そしてエンジンを20度前傾にマウントすることでスリムでコンパクトな設計、さらに低重心化を図っていた。
排気機構にはホンダオリジナルRCバルブを搭載することで、エンジン回転数に応じ適切なタイミングで排気制御が行われるようにコンピュータ制御をしていた。このあたりのメカニズム的なスペックは競技車両からのフィードバックモデルということで時代ごとの最新技術が惜しみなくつぎ込まれていた。
1987年11月には2代目となるMC18型にモデルチェンジ。スピードリミッター無しの「NSR250R」としては最終モデルとなった。
1990年2月には3代目のMC21型へとモデルチェンジ。この世代では装備の内容に違いを持たせた「NSR250R SP」と「NSR250R SE」が登場する。最高出力が45PSモデルはMC21型までとなる。
そして1993年に「NSR250R」最終モデルとなるMC28型へとモデルチェンジ。特徴的なのはスイングアームが片持ち式のプロアームを採用したことだろう。このモデルではオートバイメーカーの自主規制により最高出力は40PSになった。
環境対策に関連する規制も厳しくなく中、2ストマシンを存続させることが難しくなり1999年で販売は終了した。
相場が右肩上がりの2ストレプリカにあって250ccクラスでは間違いなく筆頭格であるNSR250R。特に最終MC28型のSEやSPは超プレミアムとなっている。
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解説記事更新日：2021年10月04日

NSR250Rとしては初めてのモデルチェンジが入りとなったMC18型1988年。
最高出力は9,500回転で自主規制上限の45馬力を発揮。乾燥重量127kgでパワーウェイトレシオは2.82kg/psの加速力を誇る。
MC16型の最終97年モデルと最大出力に変化はなかったが、2kg車重が増えたことで加速性のは気持ち落ちている。

解説記事更新日：2021年10月04日

1989年のマイナーチェンジではPGMキャブレターの吸入混合気の適正化を図るシステムに、よりきめ細かな空燃比制御をするため可変エアジェットを2個としたPGM キャブレター IIを採用、PGMーCDI点火システムは新たに独立して2個のシリンダーの点火時期を演算し、それぞれの燃焼室により適切な点火タイミングの設定と供給を行うPGM イグニション IIにそれぞれアップグレードした。
排気系は従来の可変排気孔バルブシステムに新たにマップコントロール方式の「PGM RCバルブ」を採用している。
足廻りは後輪だけだったラジアルタイヤを前輪にも採用、さらにワイド化を行なった。リアブレーキはディスクキャリパーをフローティング式に変更し、キャスター角の変更やショートホイールベース化などを行なっている。
外観にはフルフェアリングを新形状のスラントノーズ型に変更、エキゾーストパイプを細く長いテールアップ型排気膨張管に変更した。
ライバル車であるTZR 250と抜きつ抜かれつ短いスパンで大規模なモデルチェンジを行っている。
新車販売価格は59.9万円で先代モデルから2万円値上がりした。

解説記事更新日：2021年10月04日

ホンダの2ストレーサーレプリカ「NSR250R」の歴代モデルの中でも最良と呼ばれるMC21型は1990年2月に発売された。価格は609,000円(税別)だった
3代目となるMC21型の評価が高いのは、45馬力エンジンを搭載した最終モデルだからという理由のみではない。従来モデルのMC18型も当然ながら完成度の高いマシンであったことは事実である。ただ、フレーム剛性が高くコーナーリング性能においては扱いにくいと感じるライダーも少なくなかった。そこで、MC21型では見比べると一目瞭然なほどフレームの形状を新設計。メインチューブは随分と厚みが抑えられたスリム設計となり必要な剛性を確保しつつ、しなやかさを実現。そしてリアホイールサイズを18インチから1インチダウンの17インチとすることも相まってコーナーリング性能が向上し、よく曲がるマシンへと進化している。
また、への字型に見えるアルミ製のリアフォーク「ガルアーム」を採用することで、チャンバーのレイアウトを最適化し排気効率の向上も実現している。
ライバルモデルとしては、通称「サンマ」とも呼ばれていたヤマハの3MA型「TZR250」が1991年にフルモデルチェンジを実施して「NSR250R」と同じくV型2気筒エンジンを搭載した「TZR250R」へと進化した。最高出力は45馬力、最大トルクが3.8kg-mでそれぞれを発揮する回転数も両モデル同じ。しかし乾燥重量は、本モデルが132kgあるのに対して「TZR250R」は126kgと6kgも軽い。さらにフロントサスペンションは倒立フォークを搭載していた。
MC21型「NSR250R」は従来モデルまで実施されていた毎年のモデルチェンジは行われず、デビューモデルが1990年～91年まで販売された。

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解説記事更新日：2021年10月10日

歴代「NSR250R」シリーズの完成型とも評されるMC21型は、この1992年モデルが最終型となる。今回の変更ポイントはカラーチェンジのみで刷毛塗の様なブラッシュ模様をあしらったブルーとホワイトのツートンカラーを採用し同年1月に発売された。
1991年モデルのブラックとグレーを基調としたダークなトーンから1990年のデビューモデルの様な爽やかカラーリングにイメージチェンジ。グラフィックもよりスタイリッシュでスポーティなデザインに変化した。
価格は620,000円(税別)でMC21型発売時の609,000円(税別)から11,000円値上がりしたことになる。このタイミングで上位グレードにあたる「SE」タイプと1,500台限定の「SP」タイプも同時にカラーチェンジが発表された。
当時はオートバイメーカーによる馬力自主規制が始まる直前であったことから、1992年モデルの「NSR250R」は、シリーズ最後の45馬力仕様となった。さらにワークスマシン「NSR500」のノウハウをフィードバックさせたへの字型スイングアームの「ガルアーム」も一目で見分けられるMC21型の特徴となっていた(後継モデルMC28型はプロアーム採用)。
ライバルモデルの「TZR250R」も本モデル発売の翌月にマイナーチェンジを実施し足回りの強化を図っている。スペック面では互角の争いだが現在の中古バイク市場では「NSR250R」の価格高騰が激しい状況だ。

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解説記事更新日：2021年10月11日

ホンダから1967年にNSR250のレプリカとして発売されたのがこのNSR250Rだ。
モデルになったNSR250は'85、'86年度と2年連続でロードレース世界GP250のメーカーチャンピオンを獲得したレース専用車で、そのレプリカであるこのNSR250Rは当時のホンダの最新技術を丸ごと詰め込んだ1台だ。
エンジンは軽量・スリム・コンパクト設計で、V型シリンダーの狭み角度は90度、一次振動は理論上無くなった。エンジンをフレームにダイレクトに固定することによって、優れた操縦性を生み出した。また、一軸クランクシャフトを搭載、吸気効率を大幅に向上させたクランクケースリードバルブ方式を採用。そしてコンピューターで排気するタイミングを制御するホンダオリジナルRCバルブが採用されている。
車体はエンジン幅をスリムに、さらに、ホンダ独自のアルミフレームの採用し、軽量かつ高剛性、安定する低めな750mmというシート高になっている。
足回りは偏平タイヤ、S字断面スポークと幅広アルミホイール、アルミ製リアスイングアームを採用。さらに油圧式ディスクブレーキ（前はフローティング式ダブル・後はシングル）をトリプルで装備するなど、前述したとおりホンダのレース技術を余す事なく詰め込んでいる。
年間販売計画は15000台とこの時点でかなり強気だったが、実際には2万台以上売り上げて予想以上の大ヒットとなり、86年2stレプリカモデル販売台数1位を記録した。ライバル車としてはもちろんヤマハ TZRが挙げられる。
中古車市場では平均的な査定額は年式によって異なるが『フルカウル完品・状態良好』であれば80万円を超える査定額が付くことあり、また事故車や不動車などどんなに劣悪な状態であっても買取の値段が付けられる点もNSR250Rの特筆出来る点と言えるだろう。

解説記事更新日：2020年10月17日