アベンチャーバイクという市場を創出する契機となった機種が1980年のR80G/Sである。そのGSシリーズにおいてBMW自らアドベンチャーを機種名に冠したのが本機R1150GSアドベンチャーである。
初代R80G/Sから数えてGSシリーズの4代目フラッグシップとなったR1150GSの上位バリエーションとして2002年に登場している。
スタンダードGS比で差別化されたポイントは下記のようになる。

●フレーム/ディメンション
・441J型のフレーム型式（GSは415J型）
・276.5kgの装備重量（GSは249kg）
・日本仕様860mmのシート高（GSは840mm/860mmの2段階）
・長さ2cm 高さ3cm 幅2cm拡張

●パワートレイン
・エンデューロトランスミッションによるギア比の違い（スポーツトランスミッションのGSよりも1速と6速のギア比が高い最高速型）
・フルブラック塗装となったエンジンヘッドカバー

●足回り
・浅いブロックタイヤ
・サスペンションストローク（ホイールトラベル）の延長（F190mm⇒210mm/R200mm⇒220mm）
・ブルーブラック塗装のホイールリム

●外装/ライト
・8L増量された30Lタンク
・ベンチシート（GSはタンデムと分割シート）
・大型スクリーン（13cm高く12cm広い）
・ナックルガード標準装備
・アルミ製アンダーガード（GSはスチール製）
・エンジンガード装着
・フロントビークの形状とカラー
・フォグランプと12Vソケット
・アルミ製専用パニア＆トップケース（オプション装備）

スタンダード機R1150GSの上位バリエーションとして設定された1150GSアドベンチャーであるが、そのルーツは1985年のR80G/Sパリダカールに遡る。
元祖アドベンチャーバイクとなったR80G/Sが出たのが1980年。その翌年、第2回パリダカールラリーをHPN社チューンドのR80G/Sレーサーが制覇し、83年大会からは3連覇を達成している。その記念モデルとしてG/S史上最初のバリエーション機R80G/Sパリダカールが誕生した。
その最大の特徴は、G/Sレーサーが搭載していた38L（85年はGS1000の32L）タンクをオマージュした32Lビッグタンクにあった。アイコンは後継機となったR100GSパリダカールにも引き継がれ35Lタンクを搭載している。因みにスタンダード機R80G/Sは19.5L、R100GSは23.8Lタンクを搭載していた。
ではなぜパリダカールの襲名機は消滅しアドベンチャーを襲名したのか？
その答えはBMWワークスは85年を最後にパリダカールラリーから退いた事にある。1998年に再戦を果たすが参戦機は後年市販化されたF650GSベースのレーサーF 650 RRであった。F650RRは1999年大会を制覇し2001年モデルで優勝記念機F650GSダカールがリリースされている。パリダカールとならなかったのは、スタート地点がグラナダに変更されグラナダ～ダカールラリーとなっていたためだ。
以上の3機種がG/S史上でダカールを襲名したバリエーションであり優勝記念機はR80とF650GSの2機種のみである。高排気量のフラッグシップGSは、R 900 RRをベースにした2気筒ボクサーがラリー再選を果たすもF 650 RRの後塵を拝す結果に。2005年にはダカールラリーのレギュレーションは2気筒は上限450ccに規定されるなどボクサー搭載のGSはダカールラリーから縁遠くなっていく趨勢の中、Dakarではなく上位グレードとしてアドベンチャーを初襲名したのがR1150GSアドベンチャーである。

ベース機との違いは上述の通りであるが、ビッグタンクの他、ストロークの深いサスペンション・プチブロックタイヤでオフロード性向を高め、パニア＆トップケースの追加装備でトラベルもこなせる仕様に進化したのがアドベンチャーであり、今日のGSアドベンチャーに息づく礎となった。

登場イヤーのカラーリングは下記の展開となっており、このカラーリングは2004年モデルまで継続された。
尚、登場2002年モデルの価格は日本国内では186万円が設定されており、2001年モデルのスタンダード機のツートンカラーが181万円であった事と対比すると、かなりお買い得感の強い設定であった。
・ナイトブラック/イエローシート
・ナイトブラック/ブラックシート
・ホワイトアルミニウムメタリック・レッド/グレーシート
・ホワイトアルミニウムメタリック・レッド/ブラックシート

登場以降は以下の様なアップデートを受けている。
・日本向けは2003年モデルから電動サーボブレーキ（BMW インテグラルABS）とツインスパークを採用
・2005年モデルでは白/青カラーのSpecialEdition（スペシャルエディション）を追加設定
2004年にはフルモデルチェンジを果たした後継機R1200GSが出たことに伴いカタログ落ちとなった。期中の生産台数はスタンダード機R1150GSは5.8万台のし、R1150GSアドベンチャーは約1.8万台を記録している。

最後に買取相場であるが、スタンダードGS比で大きく相場が高いのがR1150GSアドベンチャーである。ご売却や買替をお考えなら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションに。

解説記事更新日：2025年05月10日

GSシリーズの4代目フラッグシップとしてR1150GSが登場した2年後、2002年モデルで追加設定されたのが本機R1150GSアドベンチャーである。
スタンダードGSに上位装備を奢ったバリエーションは1985年のR80G/Sパリダカールに端を発するもので、後継機R100GSに続いて3機目の上位バリエーションとなる（1996年にR80GSベーシックが出ているがこちらは復刻版の位置づけであった）。
スタンダードGSが先に出て後年上位グレードが登場するのは今日現行のR1300GSアドベンチャーまで変わらない構図である。

初代80G/Sパリダカールが32Lのビッグタンクをはじめとする3点の外装コンバージョンキットで差別化を図ったのに対し、2代目R100GSパリダカールでは加えて大型スクリーン・アンダーガード・ヘッドライトグリル・角型ヘッドライトが奢られた。
そして3代目となる本機R1150GSアドベンチャーではビッグタンクを踏襲しつつ、ハイライトを挙げれば
・ストロークの深いサスペンション設定やプチブロックタイヤでオフロード走破性を高め
・ギア比の高いエンデューロトランスミッションを採用
・ナックルガード、エンジンガード、大型スクリーンで安全性と快適性を高め
・オプションのトップ＆パニアケースで積載量が格段に向上されている。

ラリー仕様の優勝記念機であるパリダカールからアドベンチャーを襲名するに相応しい進化を遂げているのだが、見逃せないのは販売価格である。
10数点の上位仕様が施されているにもかかわらず、スタンダードGS比で僅か6万円高の186万円という設定であった（2001年モデルGSはツートーンカラーが180万円）。
今日の買取相場では、当時の新車価格差を大きく超えて、GSよりもR1150GSアドベンチャーが高く売れる相場となっている。
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解説記事更新日：2025年05月09日

BMW自らが初めてアドベンチャーを機種名に設定したR1150GSアドベンチャーは2003年モデルで2機目を迎えた。
日本向けではこの2003年モデルから順次以下の変更を受けている

・ツインスパーク採用
・電動サーボアシストブレーキ採用

日本仕様と敢えて表記したのは、BMW公式サイトによれば2002年モデルから採用されている変更点と記されていることによるが、仕向け地によって上記の変更を受けた個体が導入される年度に差があった様だ。そのため、仕向け地によってはモデルイヤーによって、シングルスパークとツインスパーク、電動サーボブレーキ搭載と非搭載のR1150GS/アドベンチャーが存在することになる。

シリンダー当りツインスパークプラグが実装された背景には排ガス規制対応があるが、この変更は好意的に受け止められることが多い。
対して電動サーボアシストブレーキは、ネガティブに受け止めらることが多く、2006年モデルを以って廃止されている。因みに電動サーボは故障時の修理が高くつき不具合は買取時の査定額に大きく影響する。
そもそもBMWは世界で初めてバイクにABSを導入したメーカーであり、その歴史はK100搭載された1988年に始まった。この初代ABSは2001年に第2世代のインテグラルABS（iABS）へと進化を果たしK 1200 LTに標準装備された。GSシリーズで初めてABSが搭載されたのはR1100GSが最初で初代ABSにOFF機能を盛り込んだものであった。インテグラルABSの装備は、日本向けにはR1150GS/アドベンチャーの2003年モデルからで同時に電動サーボアシストも装備された格好だ。電動サーボの廃止を受け、2007年モデルからはインテグララルABSはi-ABSへと進化し、以降アップデートを重ねている。

不評を買った電動サーボだが、国内向けはサーボ搭載比率の多い2003年モデル以降の買取相場が高くなっている。またR1150GSは走り込まれた個体が多いことから距離よりもコンディションの良い個体の査定額が伸びやすい。反面BMWの独自機構が故障していると修理費用が高くつくことから査定額は伸び悩む傾向にある。
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解説記事更新日：2025年05月09日

GSシリーズで初めてアドベンターと命名されたR1150GSは発売から3期目にあたる2004年モデルをリリースした。
前2003年モデルで、国内仕様はツインスパークと電動サーボブレーキを搭載するアップデートを受けていたが、2004年モデルはキャリーオーバーの継続販売となった。

GSシリーズの2004年モデルでは、新登場を果たした5代目GSフラッグシップのR1200GSがラインナップに加わり、日本国内ではR1150GSとR1150GSアドベンチャーと共に店頭に並ぶ格好となった。しかしながらR1150GSは2003年モデルであり415J型の10桁目のフレーム番号は2003年モデルを示す「3」であった。対して441J型R1150GSアドベンチャーのそれは「4」であり2004年モデルという違いがあった。

R1200GSの登場に伴い世代交代を果たしたR1150GSアドベンチャーはこの2004年モデルでカタログ落ちとなるのだが、2005年モデルでは特別カラーをあしらったR1150GSアドベンチャーSpecial Editionが展開された。
尚2006年には後継機R1200GSアドベンチャーが登場するが、上位グレードのアドベンチャーとして、大型フットペグ・調整可能なブレーキペダルとシフトペグ・ポジション調整可能なハンドルが新たな上位装備に加わっている。

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解説記事更新日：2025年05月09日

前2004年モデルで生産終了となったR1150GSアドベンチャーであるが、2005年モデルでは特別な塗装が施されたR1150GSアドベンチャー スペシャルエディションが展開された。
スペシャルエディションの違いは下記となっている。

・バンビブルーカラー（白/青）
・ブルー/グレーのツートーンカラーシート
・ブルーカラーのフロントフォーク
・標準装備のグリップヒーター
・ホワイトのウィンカーレンズ

施された専用カラーリングは1996年に最終2バルブと銘打って発売された復刻版R80GSともいえるR80GS BASICを彷彿とさせるのだが、このスペシャルエディションは残念ながら日本向けには設定されなかった。
米国向けに割り当てられた販売台数は200台。英国での発売価格は9,500ポンド。当時のレート200円換算で190万円相当であった。因みに登場2002年モデルのR1150GSアドベンチャーが日本向けには186万円で発売されていた。

欧米のオークションサイトでもR1150GSアドベンチャー スペシャルエディションの取引履歴は確認できないが、年間200台で計600台が生産されたとされるR80GSパリダカールの工場組み立てモデルは製造証明書付きで3～4万USDの値が付いていることを考えるとその稀少性から大きなプレミアムが付く可能性がある。
日本国内の業者間オークションでも世界的に人気の希少車は、円安環境下で強い自国通貨を持った海外勢が国内勢が太刀打ちできない高値でセリ落としている事象が多発している。
弊社バイクパッションでは貿易業者とのコネクションも豊富であることから海外バイヤーを想定した買取査定額の算出が可能である。2005年モデルR1150GSアドベンチャーSpecial Editionのご売却や買替をお考えなら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションに。

解説記事更新日：2025年05月09日