元祖アドベンチャーバイクR80G/Sを初代に据えるBMW GSシリーズにおいて、3代目エントリーモデルとして発売されたのがF650GSである。

GSシリーズ・エントリーモデルの歴史を辿ると、2代目フラッグシップR100GS（12,990DM=独マルク）と同時リリースされた1987年のR65GS（9,200DM）に端を発し、1998年のR850GS（18,750DM）が2代目となっている。2代目までは排気量こそ入門向けとなっていたが、価格はフラッグシップと遜色なく今日では幻のGS機と呼ばれるほどセールスは芳しくなかった。
その状況を打破したのが本機F650GSだ。フラッグシップ4代目となるR1150GSと共に2000年モデルでデビューを果たしたが、価格設定に歴然とした差があった。日本向けはR1150GSの177万円に対し本機F650GSは96万円。廉価な価格設定はマーケットに受け入れられエントリーGS初のヒット機にとなった。
今日のF800GSに続くミドルクラスGSの礎を築いたF650GSであるが、本機の要諦を2つ挙げるとすれば下記になるだろう。


１）BMW史上初の外注マシンF 650 Funduroの後継機であること
２）本機ベースのレーサーF650RRが13年振りにパリダカールラリーを制覇したこと

先ずは（１）から
本機の先代はF 650 Funduroである。F650は1993年にオンロード仕様のF650STとデュアルパーパス仕様のF650ファンデューロの2タイプで展開されたが、F650ファンデューロはApririaペガソ650に若干のアレンジを加えBMWロゴバッジを嵌めて発売された機種だ。廉価な小排気量版ボクサー（2代目までのエントリーGSが該当）はコスト的に困難と判断したBMWが史上初めて外注したマシンである。
そのためF650ストラーダ/ファンデューロは過去の慣習から脱却したBMW初機構が幾つも具現されていた。例えば
・初の水冷かつDOHCエンジン
・初のチェーン駆動（両持ちスイングアーム）
・30年振りの単気筒
などである。ボクサーGS初の水冷機となった2013年のR1200GSに先駆けて水冷エンジンを搭載しながら、圧倒的な低価格79万円（登場1993年モデル）を実現し、最終1999年モデルまでの7年間で約5万台が生産される大ヒット機となった。そう、F650GSは先代F650の成功を受け継いでいるのだが、先代機から以下の様なアップデートを受けている。

▼F650からの変更点
●パワートレイン
・改良型ロータックス652ccエンジンを搭載（圧縮比9.7：1⇒11.5：1）
・最大出力向上。57Nm⇒60Nm、48馬力⇒60馬力
・軽量でコンパクトなエキゾースト
・ニカシルライナーを塗布したシリンダー
・43mmスロットルボディにアップグレード
・触媒コンバーターは左側のサイレンサーに内蔵
・キャブ⇒インジェクション化
・651V型⇒651E型エンジン

●外装/ディメンション
・燃料タンクはシート下にレイアウト（17.5L⇒17.3L）
・従来の燃料タンクがあった場所には3ピースのプラスチック製シュラウドが嵌り、オイルタンク、エアクリ、バッテリーを収納
・外装デザインはBMWのデザイナによって再設計
・装備重量増加（191⇒192kg）

●フレーム
016型⇒017型

F650GSから組み立ては徐々にBMWで行われるようになったがパーツの生産は引き続きアプリリアが担っており、Rotax製652ccDOHC水冷シングルエンジンエンジンとチェーン駆動は引き継がれながら、GSの襲名に伴いR1100GSから採用されたビーク（突き出たフロントフェアリング）が採用されるなどフラッグシップGSに寄せる変更が入っている。一方でGSシリーズのアイコンであるビッグタンクはシート下にレイアウトされているなどエントリー機ならではといえる独自の進化を見せた。


続いて（２）である。
（１）の流れでは廉価なエントリーモデルの性格が際立つが、実は戦闘力も折り紙付きである。
市販化される直前のF650GSをベースに、75馬力され巨大タンクを搭載したBMWワークスのレーサーF650RRが1999年の第21回ダカールラリーを制覇している。
BMWとしてはR1000GSレーサーで3連覇を果たした1985年大会から13年振りのタイトル奪還であり、シングル機としては第4回大会のXR550以来17年振りの出来事であった。この優勝を記念したモデルが本機のラリーバージョンF650GSダカールであり、本機と同時発売されている。

廉価にして高い戦闘力を併せ持ったGSエントリー機F650GSは、生産終了までに以下のアップデートを受けている
2001年：改良型インジェクション搭載
2002年：ABSをオプションで用意（豪州と米国で標準化）フロントアクスルマウントの改良
2004年：ツインスパーク化、フェアリングとコックピットユニット改良

2008年には798ccパラレルツイン搭載の後継機F650GSとF800GSの登場によって、2007年モデルを最後にカタログ落ちとなった本機。ラリーバージョンDAKAR、ローダウン版F650GSとの3タイプで構成された単気筒F650GSシリーズは累計で10万台を超える生産を記録。
大ヒット機となった先代F650エンデューロを超えるセールスを記録し、エントリーモデルGSを成功に導く大きな功績を遺した。

最後にリセールバリューについて。本機の特徴としては高年式モデルの買取相場が高い傾向にある。2003年モデル以降から順次高くなり最終2007年モデルでその傾向が顕著だ。
走り込まれた個体が多いことからメーターの距離が膨らんでいても査定の減額は軽微であるが、販売に際し追加整備を要する不具合は負の査定に響きやすい。距離よりもコンディションの良い個体が高額査定に繋がり易くトップケースやパニアケースのオプションはプラス査定に繋がりやすい。
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解説記事更新日：2025年05月14日

GSシリーズの3代目エントリーモデルとして、スタンダード・ローダウン仕様・ラリー仕様の3タイプで2000年から展開されたR650GS。
ラリー仕様は、1999～2000年のダカールラリーを連覇した優勝記念モデルR650DAダカールが該当し、長いストロークを確保したサスペンションやフロント21インチホイールでオフロード走行性能が高められている。ローダウン仕様はローシートと短いサスの装着によって車高を落としたモデルであるが、名称はR650GSで同一であり、機種名（並びフレーム型式）での識別はGSとGSダカールの2つに分かれる。

本機R650GSの登場2000年モデルには以下の4パターンのカラーリングが用意され、日本向けには96万円で発売された。
#689 ミスティックレッド
#704 グラファイトメタリック
#744 パシフィックブルーメタリック
#763 グラファイトメタリック＆アイスブルー（イエローストライプ）

F650GSのルーツは、BMWロゴが嵌め込まれたaprilia製の先代機F650ファンデューロである。
BMW発売のオートバイとしては初の水冷かつ初のDOHCとなったRotax製652cc4ストローク4バルブのエンジン機構は先代から引き継いでいるが、ファンデューロからGSへと名称変更されたタイミングで、圧縮比を変更し最大出力が高められた改良エンジンが搭載されている。
更にキャブレターはインジェクション化されたと共に、1994年のR1100GSから採用されている突き出たくちばし状のフロントフェアリングがGSシリーズの弟分であることを示している。
一方でR80G/Sから進化を重ねてきたGSシリーズとは異なる特徴も、F650ファンデューロから多く引き継いでいる。例えば

・41mmテレスコピック正立フォーク
・チェーンドライブ（R80G/Sからドライブシャフト）
・両持ちスイングアーム（R80G/Sから片持ち）
・ワイヤースポークホイール（R100GSとR80GSからクロススポーク化）
・5速ミッション（R1150GSから6速化）

1923年の1号機R32から続くボクサーにオートバイ初搭載となったモノレバー機構を装備して発売されたR80G/Sは、2代目R100GS（同時発売されたR80GSと初代エントリー機R65GSも）からパラレバー世代となり、3代目R1100GS（2代目入門機R850GSも）からテレレバー世代へと足回りを進化させてきた。
その中で3代目入門機となったR650GSは、両持ちスイングアーム・チェーンドライブ・正立フォークと、それまでのGSシリーズの進化と一線を画している。異端児なのは足回りに留まらない。ビッグタンクをアイコンにアドベンチャーバイクというジャンルを創出したGSシリーズは、パリダカ優勝記念モデルにはレーサーを彷彿とさせるヒュージタンクが搭載されてきたが、本機のタンクはシート下に配置されている。本来タンクが載っている位置には3ピースのタンクシュラウドが嵌りエアクリ・オイルタンク・バッテリーが収納されている。ガソリンとバッテリーの位置がリプレースされているのだ。
シート下のガソリンタンクレイアウトは、張り出しの少ないビッグシングル機の安定性を高めるための措置であったのが、そのレイアウトは後継機798ccパラレルツインのF650GS更には現行の895ccF850GSにも引き継がれている。

GSシリーズの異端児としてとして登場したF650GSであったが、大ヒットを記録。ミドルクラスF GSシリーズを開拓した功績は多く、F GSシリーズは現在もF650から多くの遺産を受け継いでいる。
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解説記事更新日：2025年05月14日

入門GSシリーズとして初の成功を収めたF650GSは2001年モデルで以下のアップデートを受けている。

・インジェクション改良

本国ドイツの雑誌が、排ガステスト様のディフィートデバイス（Defeat device）が搭載されていると報じたことをきっかけに、BMWが対応機種をリコール対象とし2001年モデルから改良型インジェクションを搭載するに至った。この改良によって諸元スペックが変わることはなかった。

2001年モデルのカラーリングは以下の4色展開となった
#761 レッド
#762 マンダリン
#803 タイタンブルー
#696 オーラホワイト

また2001年にはF650のストリートバージョンF650CS（City/Street）がラインナップに加わっている。
F650CSはロースタイルマフラー、キャストホイール、前後17インチに変更された純粋なロードスターであるが、ダミータンクの部分は収納スペースになっていたほか、チェーンドライブはベルトドライブとなり片持ちスイングアームに変更されていた。

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解説記事更新日：2025年05月14日

登場から3期目を迎えた2002年モデルのF650GSは以下のアップデートを受けている。

・ABSがオプションとして用意される（豪州と米国向けは標準装備）
・フロントアクスルマウントを改良

フラッグシップGSシリーズでは1994年のR1100GSで初搭載されたABS機構。1100GSの小排気量版R850GSにはオプションで用意されていたが、3代目エントリー機F650GSにも多くの仕向け地でオプションとして用意された。
4代目フラッグシップR1150GSでは2002年モデルから順次電動サーボアシストブレーキ機構と第2世代のインテグラルABS（iABS）が装備されたが、不評を買った電動サーボアシストは本機のオプションには含まれなかった。
ロード/オフロードの走行性能を併せ持つデュアルパーパス機の性格上、オフロード走行時にはABSをオフ化できる機構はR1100GSから変わらない。

フロントアスクルマウントの漸弱性によってフロントフォークに不具合が起きる恐れがあるとして一部機種でリコール対象となっていた問題に対し、2002年モデルから順次改良型アスクルシャフトとナットを搭載するようになっている。

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解説記事更新日：2025年05月14日

3代目エントリーGSとして2000年モデルで登場したF650GSは4機目となる2003年モデルと投入した。

前2002年モデルから諸元スペックに変更は無く、実質的にはモデルイヤーを示すフレーム番号の10桁目が更新されたキャリーバーバーとなった。


3代目にしてセールス面で初の成功を収めたエントリークラスのGS機。フラッグシップGSは100GS（1987年）、1100GS（1994年）、1150GS（1999年））と順次ボクサーの排気量を拡張させてきた中で、ライバルはミドルクラスを中心に展開してきた歴史がある。
HONDAは、第4回大会パリダカを制したレーサーXR550Rを公道モデルXR600Rとし1985年からて1999年まで展開。2000年には後継機XR650Rをリリース。いずれもデザートラリーをターゲットにしたレーサーのベース機にもなっている。更に1986年大会から4連覇を果たしたNXR750の公道モデル・アフリカツインは1990年モデルで647cc⇒742cc化され2000年モデルまで展開。2000年からはXL650VトランザルプとフラッグシップXL1000Vバラデロが展開されている。
ダカールラリーの第1～2回大会をXT500で制したYAMAHAは、YZE⇒XTZレーサーで90年代のダカールラリーを席巻し、公道モデルXTX660テネレと750テネレを1998年まで展開、2008年のXT660Zテネレでシリーズを再起動させている。
KAWASAKIは海外向けに現行機として展開されているKLR650を1987年に投入。
SUZUKIは初のアドベンチャー機DR800SとDR650を1990年モデルで投入。97年からはXF650 Freewindを展開。

海外勢では、R80G/S発売の翌1981年に対抗馬としてタイガー トレイルを投入したTriumphは1999年のタイガー955からタイガーをアドベンチャーシリーズとして展開。
オフロード機の名門KTMは1997年モデルの620アドベンチャーで市場に参戦。翌年には矢継ぎ早に640アドベンチャーを投入している。

HONDAアフリカツイン、バラデロ、トランザルプなどを除くと、多くはビッグシングル搭載のオフロードマシンをアドベンチャー仕様に仕立てたミドルクラスアドベンチャーであった。
その点で1923年のBMW1号機R23から受け継がれてきたボクサーを搭載し登場したG/Sシリーズと異なる。ボクサーGSシリーズは高排気量化で成功を収めてきた一方で、ボクサーをスケールダウンしたのエントリーGS機は不発に終わってきた。その意味でミドルクラスでの成功はBMWにとって大きな課題となっていた。その念願を叶えたのが本機F650GSであり、その功績はBMWにとって非常に大きいものであった。

ミドルクラスGSの中興の祖F650GS 2003モデルのご売却や買替をお考えなら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2025年05月14日

水冷DOHCシングル・チェーン駆動・テレスコピックフォーク・ワイヤースポークホイールなどGSシリーズのセオリーを覆して登場しながらも、圧倒的な低価格と改造レーサーがダカールラリーを制したことで証明された戦闘力によって、大成功を収めたF650GSは登場から5期目の2004年モデルを展開した。
2004年モデルで実施されたアップデートは下記。

・EURO3への適合を目的としてツインスパークを採用
・外装の形状変更
・コックピットユニット変更

フラッグシップGSシリーズでは4代目R1150GSの2002年モデルから順次採用されていたツインスパークプラグ化が本機では2004年モデルで実施された。
外装デザインでは、タンクシュラウドの形状とエアダクトの形状が変更されBMWロゴバッジの収まる位置もエアダクト寄りに変更されている。またシートカウルに添付されたデカールのグラフィックが変更されている。Fの字は黒一色であったが罫線の輪郭のみとなり、F650GSの文字罫線がグレーになっている。

メーターは向かって左にアナログ スピードメーター、右にアナログ レブカウンター、真ん中にインジケーターランプのレイアウトで登場モデルから変わらないが、インジケーターの表示ランプが増えた他、メーターユニットが凹凸を多用する形状に変更されている。

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解説記事更新日：2025年05月14日

前2004年モデルでメーターユニットとタンクシュラウドの形状変更を受けたF650GS。
発売から6期目となる2005年モデルでは目立った変更は無く2004年モデルのキャリーオーバーとして発売さてている。
しかしながら本機のアイデンティティーである017型が刻印されたフレーム番号の10桁目は4から5が打たれており2005年モデルとして識別される。

心臓部のパワーユニットは先代F650ファンデューロから引き続き652ccのDOHC 4スト 4バルブのボクサーであり、Rotax製の改良エンジンを搭載したF650GSの最高出力60Nm/5,200回転～50馬力/6,500回転は登場時から変わらない。

話は前後するが、前2004年モデルでボクサー搭載のフラッグシップGSシリーズは5代目となるR1200GSが登場している。
F650GSはアプリリア製バイクとして水冷DOHCエンジンを搭載していたが、ボクサーGSが初めて水冷エンジンを搭載したのは、R1200GSがモデルチェンジを果たした2013年モデルからのことであった。更にBMW製初のDOHC（DOHCボクサー）搭載機は2008年のHP2スポーツが最初で、F650の登場から随分と後年の出来事となった。

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解説記事更新日：2025年05月14日

前2005年モデルに引き続き目立った変更なく実質上のキャリーオーバーとして展開された2006年モデルのF650GS。
識別できる2006年モデルの変更点は機種固有の017型が打たれたフレーム番号の10桁目が6に変更されている点だ。

2006年モデルでは、2004年モデルで先立って登場していた5代目フラッグシップ・R1200GSに、上位バリエーションとしてR1200GSアドベンチャーが追加投入されている。
スタンダード機を先行発売し、上位グレードを後発で投入するのは、初代G/Sのバリエーション機R80G/Sパリダカールから踏襲されるスタイルであり、ビッグタンクをアイコンとしたラリー仕様で差別化が図られているのもパリダカール仕様から続くアドベンチャー襲名機の特徴だ。

尚、パリダカ優勝を記念して発売された1985年のR80G/SパリダカールがGSシリーズのバリエーションのルーツであるが、ダカールを襲名したのは後継機R100GSパリダカール。そして本機F650GSの上位バリエーションF650GSダカールの3機に留まる。更にパリダカ優勝記念としてDAKARの名称が付与されたのは初代とR650GSダカールの2機だけである。因みにF650GSがパリダカールで無いのは優勝した1999年と2000年大会のスタート地点がParisではなくスペインのグラナダに変更されていたためだ。F650GSグラナダダカールとならなかったのは知名度の問題であろうか。

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解説記事更新日：2025年05月14日

エントリークラスGSとしては3代目にして初めてのヒット機となったF650GSは最終となる2007年モデルを発売した。
2007年モデルも目立った変更を受けておらず2005年モデルから引き続き実質上のキャリーオーバーとなっている。しかしながら2000年から展開されていたF650GSにおいて最も買取相場が高いのは最終2007年モデルである。
お持ちのF650GSのフレーム番号が017型であり10桁目が7となっていれば、2007年モデルであるので他の年式に比べてアドバンテージのある査定額が期待できる。

本機が2007年モデルを以ってカタログ落ちとなった背景には世代交代が挙げられる。
ロータックス製エンジンを搭載したaprilia製のバイクにBMWバッジを付けたF650ST/ファンデューロが1993年に発売され、2000年からは改良型ロータックス652ccエンジンを搭載したF650GSとしてラインナップを重ねてきたが。2008年モデルでBMW製の798ccパラレルツインを搭載した後継機F650GS（71馬力）とF850GS（85馬力）が登場し世代交代を果たす格好で幕引きとなった。
798ccの2気筒後継機に同名となるF650GSの名称が与えられたのは、エントリーGS市場を開拓した652ccF650GSに対するBMWの敬意であろうか。最大71馬力のパラレルツインとった後継機も652ccに倣い廉価な価格が設定された。登場2008年モデルの日本向け発売価格はベースグレードが101.5万円と、フラッグシップR1200GSの199.5万円（2004年登場時モデル）より大幅に廉価であった。
並列2気筒を搭載した後継機は、順調に発展を重ね、2013年にはエントリーモデルで初のアドベンチャー襲名となったF800GSアドベンチャーが24Lタンク（シート下配置）で登場。2024年モデルでは895cc化を果たした2代目F800GSとして再登場を果たしている。

652ccのF650GSは2007年モデルが最終となったが、シングルF650シリーズは息絶えず2006年に3代目が登場している。3代目は再改良を受け53馬力化を果たした3代目ロータックス製652cc DOHC 水冷 単気筒を搭載したオフロード機G650X-チャレンジ、スクランブラーのG650X-カントリー、モタードのG650X-モトとして2009年モデルまで展開された。
更に2009年モデルでは、652cc F650GSの名称変更機G650GSが米国、南米、ギリシャ、オーストラリア向けに発売された。このG650GSは3代目53馬力のロータックス製単気筒を搭載していたが、当初2年間は中国でが組み立てられたエンジンにはブラック塗装が施されていた。2010年モデルではデチューンを受け47馬力化しているが、2012モデルで日本向けも発売され2016年モデルまで展開された。

初代F650ST/FUNDUROから搭載されたRotax製エンジンはBMWバッジを付けた車体に都合3度の改良を受けながら搭載され続け、延べ26年間ラインナップさててきたが、その中でもエントリーGSを成功に導いたF650GSの功績はBMWにとって際立って大きいものであっただろう。

相場の高いF650GS 最終2007年モデルのご売却や買替をお考えなら、買取査定はその中古価値に精通しているバイクパッションに！

解説記事更新日：2025年05月14日